平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

クロサギ 第2話

2006年04月22日 | 職業ドラマ
 氷柱(堀北真希)の立ち位置が難しいですね。
 堀北真希ちゃんはうまい役者さんなのにもったいない。

 氷柱がイマイチの理由は、彼女が黒崎(山下智久)の過去を知らないこと。
 視聴者は「詐欺師にはめられて家族が心中したから、詐欺師に復讐している」ってことを知っているのに、「どうしてそんなに詐欺師を憎むの?家族のかたきって何?」ですからね。
 視聴者にしてみれば、「この子、どうして気づかないの?」「何も知らないくせに黒崎を責めてばっかりでひどい」という思い入れしかできないというわけです。

 視聴者が事実を知っていて、ドラマの中の人物がそれを知らないというのは、ドラマの作りの手法としてはかなり難しいものだと思います。
 この手法が活きるのは、サスペンスの時。
(「犯人はあの人なのにどうして気づかないの?危ない」という時)
 それにコメディの時。
(「どうして気づかないの。この人、バカねえ」って笑う時)
 それ以外の時にこれを使うと、人物が死んでしまうと思います。

 さて、こんな氷柱ですが、今回は少し揺れました。
 「法律は人を守れないんですか? わたし、おじさんやゆかりに何もできなくて悔しい」
 自分の無力や自分の信じている法律の無力を考え始めた様です。

 ズケズケ物を言う氷柱にも黒崎は釘をさしました。
 「友だちなら心の中にズカズカ入っていいのか? 友だちにおまえは何をしてやれるんだ? いい加減わかれよ」
 他人の心にズカズカ入って来るだけで、別に助けてくれるわけではない。
 それは単なるおせっかいであったり、自己満足ではないかと黒崎は言うのです。
 現にゆかり(市川由衣)は氷柱の言うことでなく、黒崎を選びました。
 ゆかりは言います。
 「あいつをぶっ潰して!!」

 この様に氷柱は非常に難しいキャラだと思います。
 間違えると、「おせっかい」「自己満足」キャラになって視聴者の反感を買ってしまいます。この点、原作ではどう描かれているんでしょうか?

 黒崎と共に氷柱がどう変わっていくかはこのドラマのテーマ。
 氷柱にも注目です。

★研究ポイント
 ドラマの作り方:事実を視聴者が知っていて、ドラマの中の人物が知らない場合。
 キャラクター:吉川氷柱の位置づけ

★名セリフ
 「友だちにおまえは何をしてやれるんだ?」
 今回のテーマせりふでした。
 このせりふ、氷柱に言っていると同時に自分自身にも言っている。
 詐欺をしている黒崎の親友・田辺智(小山慶一郎)。
 その親友に黒崎は「詐欺なんてやめろよ」と言うのではなく、逆に詐欺を仕掛け、警察に逮捕させる。
 これを深読みすれば、
 「親友に詐欺師なんかやってほしくない。痛い目にあって早く足を洗え」
 「楽に金儲けができるなんていう中途半端な気持ちで詐欺師なんかやるな。きっと痛い目にあう。そうなる前に俺がハメてわからせてやる」
 「口で言ってもわからないのだから、刑務所に行って頭を冷やせ」
 という友情の行為とも取れる。

 もちろん、黒崎は「すべての詐欺師を喰ってやる」という自分の信念からやっているのだと思うけれど。
 だから次のせりふを氷柱に言われる黒崎の心中はフクザツだ。
 「あなたって何なの?詐欺師なら友達でも平気で退治出来るんだ」
 黒崎はこの質問にYESともNOとも答えることができない。
 
 YESと答えた場合は「すべての詐欺師を喰ってやる」という自分の信念のためには、親友をも裏切るクロサギ黒崎に。
 NOと答えた場合は「親友に詐欺師をやめさるために詐欺を仕掛けた」黒崎になる。
 答えられない黒崎はこのふたつの黒崎の間で引き裂かれている。

 黒崎もすごく難しい役柄だと思う。
 最後に泣かせたってことは「親友をも裏切る黒崎」をこの作品の製作スタッフは選んだんだのかもしれないが。

★名セリフ・その他
 刑事・神志名将(哀川翔)が黒崎に
 「便利ですねぇ。クロサギを追えば、必ずそこに詐欺師がいる」
 アカサギ・田辺美咲(小沢真珠)
 「バカなボンボンか、3流詐欺師か。いずれにしてもあの1億円、あたしがもらってみせる」
 田辺智(小山慶一郎)
 「1億だぜ。お前もやってみろよ。人生変わるぞ」
 仕事を終えた黒崎に桂木敏夫(山崎努)が
 「親友を喰ったか? どんな味だった?」

★ディティル
 美咲は黒崎が詐欺師であることを汚い靴で見破った。
 ゆかりは智のお金を稼ぐためにメイド喫茶で働いた。(ファンサービス?)

★追記1
 今回は、美咲の詐欺と智の詐欺の2本立て。
 黒崎はこのふたりをハメ返さなければならない。
 また、美咲は黒崎が自分をはめようとしていることを知っている。
 詐欺をする困難さが増した。
 それゆえ、1話より詐欺の内容がバージョンアップ。
 3話以降はどうなるんだろう?

★追記2
 今回の詐欺手法は「銀行の担保になっている預金は引き落とせない」という銀行の仕組みを利用したもの。
 美咲の3000万と黒崎の相続税の問題でアメリカに置いてある1億で店を開こうと持ちかける。
 美咲はアメリカに架空会社を作り、その会社の口座に1億を振り込むように言う。
 架空会社から黒崎の銀行口座にお金を振り込めば、相続税はかからないというわけだ。
 果たして黒崎は架空会社に1億を振り込むが、担保金になっていたため、美咲は引き落とせない。
コメント (3)
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