ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

digとのギグ02。22.12.02 「私の政治的立場」

2022-12-02 | 哲学/思想/社会学
ギグ(gig)とは、ミュージシャンによる単発の演奏や小規模な演奏を指す英語のスラング。








dig  ラディカリスト。歯に衣着せないタイプ。




e-minor 当ブログ管理人eminusの関係者。ヒト科に属するエイプ。




☆☆☆☆☆☆☆




 ヘイ。digだぜ。




 どうも、e-minorです。




 予選1位通過おめでとう!




 えっ。…………ああ、サッカーの話ね。ワールドカップやってんだっけ、いま。……びっくりしたよ、ぼくがなんか予選通過したのかと思った。




 あいかわらずオメーはスポーツに関心ねえなあ。




 いや競技そのものには興味なくても、教養として或るていど知っときたいとは思ってるけど、いかんせん他のことに時間を取られちゃって……。




 将棋とか(笑)。




 うん、まあ、そう、将棋とかね。やっぱ自分に心得がないと、醍醐味がわかんないじゃん。ああいう社会的っていうか、集団でやる競技はぜったい駄目だかんね、オレ。チームプレイができないもの。見てて楽しめるのはテニスくらいかなあ。




 でもサッカーは将棋に似てるだろ?




 いやそれは、いわば個々の選手の役割分担や連携を駒の動きに見立てたらってことでしょ。なんというかこう、上から鳥瞰した視点でさ……。そういう見方をするためには、ルールはもとより、基本的な戦術やスタイルなんかを弁えとかなきゃいかんけど、からっきしだからね、そこが。……テニスだと、一対一だから、自分自身を対局者……じゃないか、プレイヤーそのものと同一視できるから、わりと入りやすいわけ。




 なんによらず、最初みっちり勉強してから観戦を始める奴なんて滅多におらんよ。ふつうは見ててしぜんに覚えんだよ。




 ……だろうね。だからやっぱり、根っから興味がわかないんだな。




 1位通過はめでたいけど、こないだの五輪でスポーツビジネスの汚さをイヤってくらいに見せつけられて、その不正の捜査がやっと緒についたばかりだし、しかもこの状況下で札幌五輪がどうのとかと言ってる連中がいるし、いやそれよりも、こういった国民的イベントの裏に隠れておっそろしい法改正が着々と進められてるし、眼前の値上げラッシュにもまったく歯止めはかからんし、それどころか、アホがまた増税だのと言い出してるし、内情を顧みれば、そりゃ、浮かれてる場合じゃねえよなあってのも確かだ。お前さんくらい超然と構えてるのが正解かもしれん。




 偏屈を気取るつもりはないけど、わからないんだから、同調はできないなあ……。ひとが喜んでるものに水を差す気はないけどね。




 だがな、サッカー、ラグビー、テニス、ゴルフ……こんにちの近代スポーツ発祥の地は産業革命期のイギリスだ。さっき教養がどうのと言ってたけど、じっさい、競技スポーツのことを知らずに「近代」ってものは把握できんよ。今度またレクチャーしてやるよ。




 お願いするよ。……で、この話題と繋がるかどうかはわからないけど、今回のサブタイトルは「私の政治的立場」だね。




 ……これ、前にやった話と繋がってんだよな。
digとのギグ01。22.11.23 「政治哲学」
https://blog.goo.ne.jp/eminus/e/679d795e9be11568683a2d2a1245df16





 そうだね。一連の流れで……。




 事前にネットをざっと漁ったんだが、おれ自身の心情に近いものとして、橘玲(たちばな・あきら)氏によるこの文章が、いちばんうまく纏まってたな。以下、冒頭部分を引用させて頂くと……。


橘玲 公式ブログ
「リベラル」が嫌いなリベラリストへ
2016年5月25日








「最初に断っておきますが、私の政治的立場はリベラリズム(自由主義)です。


故郷に誇りと愛着と持つという意味での愛郷心はありますが、国(ネイション)を自分のアイデンティティと重ねる愛国主義(ナショナリズム)はまったく肌に合わず、国家(ステイト)は個人が幸福になるための「道具」だと考えています。


神や超越的なもの(スピリチュアル)ではなくダーウィンの進化論を信じ、統計学やゲーム理論、脳科学などの“新しい知”と科学技術によって効率的で衡平(公平)な社会をつくっていけばいいと考える世俗的な進歩主義者でもあります。


自由や平等、人権を「人類の普遍的な価値」とする近代の啓蒙思想を受け入れ、文化や伝統は尊重しますが、それが個人の自由な選択を制限するなら躊躇なく捨て去るべきだとの立場ですから、最近では「共同体主義者(コミュニタリアン)」と呼ばれるようになった保守派のひとたちとも意見は合わないでしょう。


しかしそれ以上に折り合えないのは、日本の社会で「リベラル」を名乗るひとたちです。なぜなら彼らは、リベラリズムを歪曲し、リベラル(自由主義者)を僭称しているからです。
(以下略)」
 ……と、まあ、こんな感じだな。




 ……なるほどね。




 でもこれ、記事の中で橘氏ははっきり書いてないんだが……




 リバタリアンだよね。




 リバタリアンだよな。




 だから、今のニッポンに行きわたってる「リベラル」という用語(概念)は歪められたもので、本来の「リベラリスト」ってのは「何よりも自由を大切にするひと」の意であると、そう仰ってるわけだよね。




 「平等」じゃなく、「自由」をな。




 自由のほうね。自由主義。なにしろliberalismなんだから。




 そこを強調するために、ここではあえてリバタリアンという用語を使わず、「リベラリズム(自由主義)」って書き方で通してるんだろうな。たしかに、慣用としては今やすっかり「リベラル」という用語は「平和を愛する物分かりの良い平等主義者」くらいの含意になってる。きっとアメリカを真似たんだろう。でも、だからこそ本家のアメリカでは、明確に区別するために、「リバタリアン」という用語が作られたわけで……。




 その用語は10年以上まえにサンデルさんによって日本にも紹介されたはずなんだけど、いっこうに定着しなかったね。ネット見てると、「リベラル」ってのはイコール「サヨク」で、しかもそれが同時に「反自民」であったり「反日」になったり……




 それはこの国独特だな。アメリカなら、「リベラル」は「共和党ぎらい」ではあっても、「反米主義」とは言われんよ。




 日本でも、けしてリベラルすなわち「反日」ってことはないし、そもそも「反日」という用語じたいがファッショ的で気持ちわるいんだけど、それがすっかり行きわたっちゃって……




 かつては現職の総理が使ってたくらいだからなあ。




 ……まあ、亡くなった人を直接どうこういうのは控えたいけど、ああいうところは慎みを欠いていたとは思う。




 はっきりいうと、戦後ニッポンはアメリカとの軍事同盟のもとで……といえば聞こえはいいが、講和が成立したあとも、まあ事実上の支配下にあって、自民党って政党はそのバックアップでできたわけであり、いまもってそうであるわけよ。それがほぼ一党独裁を続けてきたわけだから、じつは独立国とは言い難いところがあってだな。




 「自民党がアメリカのバックアップでできた」とまで言い切っていいかどうかは、ぼくとしては保留しておくけども、ぼくらがふつうに思ってる以上に、アメリカのコントロールがきついのは事実みたいだ。それは岸信介のお孫さんである安倍元首相が暗殺されたあと色々と調べて得心できた。ここでいう「アメリカ」のことを「国際金融資本」と呼ぶ論客も近ごろは増えてきてるようだけど……。ただ、それでも80年代後半までは政治家も官僚も財界人もそれなりに国益を考えてやっていたと思うんだけど、バブル崩壊以降からだんだん風向きが変わってきて、小泉=竹中政権を経て、今やすっかり「米国ファースト」になっちゃったんだね。こういったことはむろん教科書にも書かれてないし、新聞でもテレビでもやらないっていうか、むしろ隠蔽されてるけど、ここ10年あまりでかなり文献も出てきた。このあたりは別の機会にやりたいけど……




 政治的ポジションの話に戻すか。




 うん。とりあえずそれをやっとこう。いずれにせよ、戦後ニッポンは「平和憲法」のもと、ほぼ自民党の一党独裁が続いてきて、冷戦以降も55年体制を清算できてない……。というか、構造的にできない。digが言わんとしたのはそういうことでしょ?




 だな。




 つまり、ポスト冷戦に対応するニッポン独自のパラダイム(枠組)を創れないわけだよね。それは、「民主党」という政党が、結局は張りぼてみたいにポシャったことからもわかる。いまだに、「反自民」の受け皿となる政党がない。それでネットの議論も、いつまで経っても「ウヨ」「サヨ」の二元論から抜け出せないわけでしょう。




 せめて議論の上だけでも、「リバタリアン(自由重視)」「リベラル(平等重視)」「コンサバティズム(伝統重視≒保守)」「コミュニタリアニズム(共同体重視)」と、4象限くらいには分けたいとこだがな。




 4象限ね。これは数学の授業でやったX軸、Y軸のグラフとして描けて、一方の軸を政治的自由度、もう一方の軸を経済的自由度とすれば、わりと的確に自分のポジションを示せるんだけど、ただし、ぼくなんかけっこう流動するんだなあ……。digはさっきの橘さんと同じで、リバタリアンなんだよね。




 そうなんだけど、橘氏は金持ちでおれはビンボーだから、そう簡単でもないよ。それで前回は「生粋のリバタリアンじゃない。」と言っといたんだが。




 それは大きい(笑)。貧乏なリバタリアンって、つまりはアナーキストじゃないかと思うんだけど(笑)。




 さすがにそこまで過激ではないが。




 とにかく、そう単純に割り切れるもんでもないってことだね。




 だな。そっちはどうなんだ?




 うーん。「ダーウィンの進化論を信じ」とか「自由や平等、人権を『人類の普遍的な価値』とする近代の啓蒙思想を受け入れ」といったところには完全に同意するけれど、いくつか引っかかる箇所はあるね……。そもそも、この橘氏の文章自体が、仔細に見ていくとけっこう穴だらけだし……。




 それは一種のマニュフェストみたいに書いてあるんだから、そう哲学的にごりごり詰めていくもんでもないだろう。




 ぼくのばあい、リバタリアンに共鳴する資質を濃厚に持ちつつも、「コンサバティズム」と「コミュニタリアニズム」との融合というか、折衷みたいな位置なのかなあ。「ニッポン」という「伝統に基づく共同体(コミュニティ)」を信じる貧しくも健気な一市民ってとこかな。




 やっぱり貧しいのか。




 そこはしょうがないね。
 



 いずれにしても、いまの自民党はダメだろ?




 うん。コミュニタリアン的保守派からみても、いまの自民党はダメだ。




 リバタリアンからみてもダメだな。増税、インボイス、マイナンバーカード……。こう規制を押しつけてこられちゃ敵わない。なのに、怒ってるのがほとんど「リベラル」ばかりで、リバタリアン的な立ち位置の者から一向に抗議が聞こえてこない。そこも今のニホンのおかしなところだ。



 そこは、「金持ちケンカせず」ってことじゃない(笑)。



 ちぇっ。それでおれはアナーキスト寄りってことかよ。……まあ、貧乏なリバタリアンから見ても、コミュニタリアン的保守派からみても、いまの自民党はダメなんだけど、ただ、ここで迫り上がってくるのが「憲法九条」および「中国(の軍事大国化)」という問題だわなあ。




 結局はそこなんだね。でも、この話は大きすぎるから……




 またの機会かな。



 またの機会だね。




つづく










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