ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

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2021-10-31 | 戦後民主主義/新自由主義






  安倍晋三・元首相が、解散直後からしきりに「日本経済のV字回復」「V字回復」といっていて、これにつき、コラムニストの小田嶋隆氏がこんなツイートをしている。


小田嶋隆
@tako_ashi
10月25日
「V字回復」の前半部分って、一本調子の右肩下がりだよね? 今が「V」の字の底なのだとすると、日本経済をここまで下げたのは、アベスガの9年間だったことになるわけだが、それで良いのか?





 どうなんだろう。いくらなんでも安倍氏もそこまで愚かではないはずなので、ここでいう「V字」とは「コロナ不況によるどん底」からの復活という含意だとは思うのだけども、それでもやっぱり「V字」なる用語はかなり長期のスパンを前提としているわけで、7年8ヶ月、菅前首相をも併せればほぼ9年にわたって政権の座にあった人のことばとしては、あまりに不用意だし、無責任だと思える。
 いや、けして揚げ足を取るわけではなく、たんに事実として、この9年間で日本が貧しくなったのは確かなのである。
 岸田文雄首相は、総裁選の時点では「分配なくして成長なし。」と述べていたにもかかわらず、首相になったとたん「成長なくして分配なし。」に変わった。ほぼ一夜にして豹変した按配だ。
 これは「V字うんぬん」よりもさらにごまかしがきかぬと思う。「ニッポンは成長していない」と、現職の首相すなわち自民党総裁がはっきりと認めているわけだ。ずっと与党として日本を運営していたのは自民と公明なのである。このことに関して野党はなんら責任を持たない。というか、責任の持ちようもない。それが与党と野党との違いである。絶大な懸隔がある。
 日本が成長できないのは格差を広げたせいだ。格差を広げたのは新自由主義政策のせいだ。新自由主義政策を推し進めるのは自民党と維新だ。すなわち、自分や家族や仕事や社会ぜんたいを含めた日本という国を現状のままにしたいか、あるいはさらに格差を広げたい人は与党や維新に入れればよいし(ちなみに経団連は「いずれ消費税を19%に」といっている)、その趨勢にどうにかして歯止めをかけたい人はその他の党に入れればよい。それだけの話だ。