ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第45話「輝くキラキラ星☆ひかるのイマジネーション!」① 冷たい雨

2019-12-24 | プリキュア・シリーズ




 今話、ユーミン(荒井由実)の「12月の雨」じゃないけど、冒頭から雨が降ってるんだよね。ぼくは35話(ひかるが委員長に立候補したやつ)までさほど真剣に観てなかったし、ビデオも録ってないもんで、あやふやなんだけど、そもそもこれまで「スタプリ」のなかで雨が降ってたことあったかな? けっこう「星空界」での冒険が多かったし(ほかの惑星で骨の雨……なんてのは見たけど)、いちども降ってないと思うんですよ、地球上(笑)ではね。まどかさんのトゥインクル・イマジネーション覚醒回でも、曇天までだったでしょ。

(追記。このあと調べたら、20話で激しい降雨の叙景がありました。ただしその時、ひかるたち一行は地球の外にいたんですけども。)




 風景ないし天候がキャラの心情とシンクロするのは近代文学(小説)の発明ですね。で、それはとうぜん映画に援用された。今じゃドラマでも漫画でもアニメでも、完全にデフォルトになってて、当たり前すぎて逆に誰も気に留めないという。
 今話はひかるが珍しく沈んでるんだ。笑顔が売り物のえれなさんに気を取られがちだけど、星奈ひかるって人も、思えばそうとうの元気者だし、ムードメーカーでもあるんだよね。まどか・えれな両先輩がフューチャーされたここ数話では、ほぼ「キラやば~」としか口走ってなかったような気がするけども。
 日常生活でずっとあの調子だったら、うるさいかな、とも思うよ正直なとこ(笑)。だけど、未知の空間に飛び出す時なら、ああいう人が傍にいてくれるのは心強いはずだ。
 ぼくは観てないけど、信頼できるサイトによると、この秋公開された劇場版で、ひかるはこの口癖をたった一度しか口にしないとか。それがどのシーンなのかはわからないけど(観てないもんでね)、やっぱりそこは見せ場なんだろうし、その「キラやば~」はいやがうえにも「決めゼリフ」として響くと思いますね。
 さんざ言いまくってるコトバをたった一度しか使わない。そこに大きな効果が生まれる。ふだんやたらと元気なのに、アンニュイな姿を見せるってのも同じこと。えれなの泣き顔もかなりキタけど、ひかるのこんな様子ってのも、なかなかに切ないもんですよ。




 前作の『HUGっと!プリキュア』では、主役の野乃はながフクザツな人格でね。気丈なくせに自己評価は低いという。序盤じゃかなり脆さも見せてた。ぼくは魅力的だと感じたけど、児童向けファンタジーアニメとしては、重かったかもしれない。
 星奈ひかるはそこまでロコツに脆さを見せたことはない。ただ、一人っ子で、父親がずっと留守してて、母親は家にはいるけど仕事やってて(漫画家)、じっしつ祖父母に育てられてて……と、つぶさに見ればそこそこ大変そうでもあるんだな。
 もともと一人でいるのが好き……というか、一人っきりがぜんぜん苦にならないタイプ。夢中になれる事に向き合ったら、どこまでも追っかけていく。友達なんて別に要らない。でも変わり者ってほどでもなくて、人付き合いはそれなりにこなす。ただ、クラスの中では微妙に浮いてた……かもしれない。ララと出会う前までは、おおむねそんな塩梅だったんじゃないか。
 こういうの、見てる人にはどうなんだろうね。ぼくなんかナミダが出るほど(苦笑)よくわかるんだけども。
 でもその情熱ってのは、好奇心から来てるわけだ。外に向かってるんですよ。だから1話ではララやフワやプルンス氏ともすぐ親身になったし、プリキュアにもなっちゃう。さらには、「さとり世代」の代表みたく合理性だけで判断を下して、はなっから諦めきってたララを勇気づけて(「思い描くの! なりたいララちゃんを!」「できないなんて決めつけは、無しだよ!」)二人目のプリキュアにまでしちゃうというね。
 そういう女の子が、ここにきて、意気消沈してるわけですよ。



☆☆☆☆☆

 参考として、他の考察サイトから、ひかるのセリフを引用させて頂きましょう。26話、みんなでパジャマ・パーティーをやった回より。

「わたしさ、友達と遊ぶよりひとりで天文台行ったりする方が楽しかったから。星座とか宇宙人とかUMAを調べてる方がさ。でも分かったんだ。ひとりでいるのも楽しいけど、みんなとこうしているのもすっごく楽しいんだって。みんなで新しい世界を知ったりとかさ、とっても、とーっても、キラやば~なんだよね!」