ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第44話「サプラ~イズ☆サンタさんは宇宙人!?」について

2019-12-15 | プリキュア・シリーズ



 今回は、これだけを単話でみても大したことはない。1年48話(ときに49話)の長丁場だから、こんな回もある。41話から三回にわたって続いたお姉さん2人の進路にまつわる怒涛の展開が一段落して、ややトーンダウンの趣。
 前半パートは毎年恒例のクリスマス回。プリキュア勢5名のうち2名までをも異星人が占める今タイトルにあって、「サンタさんの正体は異星人だった」はむしろ自然な着想といえる。トナカイのほうがじつはヒューマノイド型の本体で、サンタに見えるほうがロボットだった、というのは星新一のショートショートふうの楽しいひねり。
 プリキュアたちがサンタさんを手伝ってプレゼントを配って歩くのは、前作『HUGっと! プリキュア』の踏襲。たんにクリスマスパーティーをやってるだけよりはプリキュアらしいと思うけど、今後はこれがフォーマットになるかな?
 あと、橇の中で、来たるべき別れの予兆というべき会話あり。ひかるが今のところ、ララとの別離をさほど深刻に考えていないのが切ない(意識の底に押し込んでる。というべきか。だとしたらもっと切ない)。
 後半パートが、敵の首魁がみなの前に初登場する「ラスボス顔見世回」。ただし今回はアーマースーツを戦闘員に着せた影武者だったようだが、それですらあれほどの強さ……ってことで、その端倪すべからざるパワーの一端を示し、最終決戦に向けての緊迫感を高めていく。
 個人的には、えれなの留学宣言にちょっとびっくり。12月3日の記事『スタートゥインクル☆プリキュアについて08 仮面としての笑顔を超えて。』へのコメントで、「多分、えれなは留学する(笑)」と予測を立てたakiさんが的中。ここは完全に読み負けましたねェ。
 「自分と向き合うために留学を保留にしたまどか」と「自分と向き合った結果留学を選んだえれな」という対比は面白いかも……というのがakiさんの読みの根拠だったようだけど、なるほどなあ。
 まどかのほうは、冬貴パパの口から「ロンドン」って地名が出てたけど、えれなさんはどこになるのかな。英語圏ではなく、パパの母国のメキシコじゃないかと思うけど、作中でそこまで明かされるかどうかはわかりません。
 あと、次回がついに星奈ひかるの「トゥインクルイマジネーション」覚醒回になるようだけど、その際の相手役はカッパード氏のようですね。だとすると、この人はララの影(シャドウ)ってだけじゃなく、ひかるの受け役としての立場も担っているわけだ。
 じっさい、敵の先鋒として第一話に登場するひとは大体において最終話まで重要視されるのが基本。『GO! プリンセスプリキュア』のクローズなんて、結局ラスボスにまでなっちゃったもんね。
 あのときは、作品のメインテーマである「希望」と「絶望」を巡って、キュアフローラ春野はるかとクローズとが闘争と問答をさんざ積み重ねたあげく、お互いがお互いの「影」であることを認め合い、再会を約して別れるという哲学的なエンディングを迎えた。
 本作のカッパード氏も、メインテーマである「イマジネーション」を巡っては、ひかると表裏の関係ではあり、これまであれこれ問答も重ねた。とはいえ、異星人どうしの友愛を体現するララと、異星人どうしが分かり合えることなど絶対ないと信じるカッパード……との対比でいけば、そりゃあこっちのほうが重いだろう。
 それにひかるは、「大切なものを守るための力」というサブテーマを巡って、かつてガルオウガとも(物理で激しくやり合いながら)問答をした。そこではガル氏がひかるの受け役を担ったわけで、さすが主人公だけに、それくらい彼女には課せられた仕事が多いってことだ。 
 ララの影(シャドウ)はカッパード、ユニの影はアイワーン、まどかの影はガルオウガ、えれなの影はテンジョウ、そしてひかるの影はラスボスのダークネストという読みは、とくに修正することもないでしょう。