桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・12・20

2006年12月21日 | Weblog
一昨日新聞広告を見て年末の大掃除の為に清掃器具を買い求めようと電話したら、電話が混み合っているのでこっちの電話番号を吹き込んでおいてくれと云われて、そうしたら今朝業者から電話がかかってきた。注文したい商品を告げると、品切れ状態なので届くのは来年になってしまうと云う。年末の大掃除は××(商品名)で!と云う広告を打っておきながら、それじゃ意味ないじゃないかと注文するのをやめてしまう。どうでもいいことだけど、何となく割り切れない。気を取り直して朝食の準備。残り物の鶏レバーの甘露煮とレタスのサラダ、同じく残り物のナマコの酢の物、明太子のカイワレ大根和え、白菜漬け、春菊の味噌汁、そしてどうしても生卵ご飯を食べたくなって、器に卵を割って食卓に並べたまではよかったのだけど、醬油がないことに気づく。他のオカズだけでも充分だったけど、食べようと思ったものがスプーン一杯分の醬油がないだけで食べることが出来ないと思うと何とも切ない。夕方、もう少し部屋で仕事をしていたかったけど、ウチの店を作ってくれたコレドの母、美術デザイナーのHさんが久々に来ると連絡があったので六時に店に出向くと、彼女に撮影監督のTさんを紹介される。Tさんは俺の名刺を見るなり、ああっ、あの桃井章さんですかとひどく感激してくれる。Tさんは、十年前、俺の脚本家としての最後の仕事『石工丹波佐吉の生涯』と云う作品を担当したカメラマンで、その作品がとても気に入ってくれて、ご自身の代表作に必ずリストアップしていると云う。文化映画的作品で、ホールでの公開は一度したものの、テレビではBSで放送しただけの地味な作品だったし、もう誰からかも忘れ去られているとばかり思っていたのに、今や映画監督でもあり、世界的な撮影監督になったTさんの記憶の中にしっかりと残っていたなんて、最後の仕事としてやった甲斐があったと思ったし、それだけで今日一日が幸せな気分。

2006・12・19

2006年12月20日 | Weblog
まだ本調子でないみたいで、さっぱりした物しか食べたくない。近所のスーパーで安売りしていたマグロの刺身を買って来て、ナマコの酢の物と湯豆腐、白菜の漬け物と一緒に食べる。まぁ、それだけ食べられればいいじゃないかと云う声もあるだろうけど、何となく肉や納豆を避けてしまうのは俺の体調が万全じゃない証拠と勝手に決めている。集中力も極端にない。テーブルの上には数日分の伝票と領収書が散乱し、帳簿が広げたままだ。辛うじてこの日記だけは毎日書き続けているけど、来客者名簿の整理は二週間分たまっている。やろうとしてもすぐ他のことに目が行く。確かに台所の後片付けはしなくちゃいけないし、洗濯もしなくてはいけないから、別に遊んでいる訳じゃないんだけど、集中力は体力と比例している気がする。今日もコレド通信を書いている内に他のことをやってしまい、結局出来ず終いで8時過ぎに店へ。「お・みみみシアター」二日目。50数人の入り。カウンターには女性脚本家のTさん、名古屋のCテレビのKさんたち、近所の美人姉妹の姉Aさん、信託銀行勤務のU君、TテレビのOさんたち、遅くなってS財団のRさんたち。年の暮れの飲食店っぽくそれなりに忙しい。2時近くにお客さんがいなくなって、バタバタとMちゃんと帰り支度。ラーメンと餃子で空腹を満たして3時近くに部屋へ。バスタブにお湯を入れてしばらく体を横たえる。極楽、極楽。

2006・12・18

2006年12月19日 | Weblog
ホントに疲れていたんだと思う。夕べも2時過ぎに眠ったのに8時まで熟睡。おまけに11時過ぎまで二度寝してしまった為、今日の公演『お・みみみシアター』のリハの為に店へ飛んでいく。主催者のHさんにバトンタッチして恵比寿で所用を済ませた後、2時に茅場町の寺田歯科クリニックへ。今日で30数万かけたブリッジが完成。これで若い女の子といつまでもキスできますよと女医の寺田さんに冷やかされたもんだから、何だったら験してみますか?とジャブを返す。それにしてもお金がある内に前払いしておいてよかった。今30数万払えと云われても絶対無理だったろう。一旦帰宅。食事した後、コレド通信の執筆にかかる。もう三カ月もさぼったまま。今日明日で書かないと今年中に送れなくなってしまう。何とか今年一年の総括と常連客列伝を仕上げようとするが、8時過ぎまでに総括だけ。常連客列伝は明日に廻して再び店へ。制作会社DJのOさんたち、OLのJ子さん、プロデューサーのHさん、TテレビのOさんと高校のクラスメイトでN県立医大教授のKさん、人妻Iちゃん、法律事務所勤務のNさん、女優のKさんなど(早い時間にAN嬢も)。2時閉店。まっすぐ帰って、お茶漬けを食べてベッドへ。と、深夜に廊下で物音。ドアを開けてみると、マンションの階段の踊り場で中年男が泥酔して眠っている。一応声を掛けてみる。反応がない。マンションの住人ではなさそうだし、困る。だからと云って警察に届ける程のことでもないし、そのままにして俺も眠る。

2006・12・17

2006年12月18日 | Weblog
朝なかなか起きられなかった。昼過ぎに漸く起きた。でも、だるい。体中が重たい。いつもなら起きてすぐ珈琲を飲みたくなるのに、今日はその欲求が起こらない。勿論食欲はない。辛うじて新聞だけは一階のポストに取りにいく。そしてそのままベッドへ戻ってしまう。ノロウイルスが猛威をふるっていると書いてある。クリスマスに予定している牡蠣パーティは大丈夫だろうか?などとボンヤリ考えている内に眠りに入っている。再び起きたのは3時近く。ベッドの中から起き上がれない程体がだるい。そして体中が熱い。熱があるようだ。体温計で計って見ると、38度を越えている。昨日朗読なんて慣れないことをした知恵熱か?今日はTちゃんもMちゃんもお休みで、店は俺が一人でやることになっているし、何とか店に出るまでには熱をさげようと、日記を何とか書き終えると、薬を飲んでベッドへUターン。けど、薬が効きすぎたのか、目が覚めたのは9時近く。3時間も開店時間を過ぎていて茫然自失。今年は一日の休みもなく営業を続けて来たけど、最後の最後になって休むことになってしまった。今日お店に来て下さった方、ごめんなさい。

2006・12・16

2006年12月17日 | Weblog
直前のリハをするまでは、本番できっとアガルと思っていた。何てたって40数人の観客の前で朗読するのだ。素人の俺が上がらない訳がない。だからアガッタ時の用意に傍に強いラム酒を置いておいた。でも、そんなことは必要なかった。紺野さんのピアノの演奏が耳に心地よく聞こえて来る。オンチの俺にもその旋律が、音符になって見えて来る。朗読を始めるきっかけの小節も分かった。読み出したら読み出したで、自分で声の高低を調節出来て、抑揚もつけたりしてしまった。不思議だった。何故こんなに落ち着いていられるのだろう?朗読と朗読の合間に思う。でも、考えてみれば不思議でも何でもないことだ。他の人にとって、そこは「ハレ」の場であるステージであったりするのかも知れないけど、俺にとっては、毎日、お客さんとお酒を飲んだり、すき焼を食べたり、掃除したり、後片付けしたりして働いている日常の場なのだ。他の場所ではアガッテしまっても、ここではアガリたくてもアガリようがないのだ。とは云っても、素人の朗読には違いないし、決して上手く出来た訳ではない。それに紺野紗衣さんのファンにとっては、誰だか分からない初老の男の朗読なんて、邪魔以外の何物でもなかったろう。でも、終った時、やってよかったと思ってしまった。確かに昔、モノを表現する事をしてきたけど、脚本家はあくまで裏方だし、表で人の前でモノを表現する醍醐味には敵わない。今日のことに味をしめた俺は、ウチのスペースなら上がらないし、来年、人前で何かを表現したいと云う衝動にどうしようもなく駆られだした。誰かこの無謀な衝動を止めてくれ。

2006・12・15

2006年12月16日 | Weblog
買い物に行くともやしをつい買いたくなる。多分安いからだと思う。でも、なかなか料理に使えなくて、気づいてみると野菜室でグタッとなっている。例え百何十円でも、そんなことじゃいけないと、一昨日買ったもやしを今の内に食べてしまおうと、キャベツとにんじん、冷凍してあった豚コマで、ごくごくシンプルなソース味の野菜炒めを作る。何だか若い独身男に戻った様で、それはそれなりに美味しい。他に納豆オムレツ、タラモサラダ、佃煮、市販の生姜の漬け物、さつまいもの味噌汁で食事。「紺野紗衣ピアノライブ」のリハはお休みだったけど、明日に備えていい加減な読み方をしていた漢字を辞書を開いて一々チェック。こんなこと高校時代以来か。5時に部屋を出て、銀行に寄った後、恵比寿で所用。二年前まで住んでいた街をブラブラ散策。当時通っていたKANAバーの前を通りかかったら、マスターが掃除していたので、誘われる様に中へ入り、二時間ほどお喋り、というかバー経営の先輩に色々相談する。8時過ぎに店。携帯D社のIさんたちとテレビAのKプロデューサーたちの間に坐って、桃井トーク。他にカメラマンのTさん、法律事務所勤務のNさん、AN嬢、マネージャーのSさん、Nさん、SミュージックのIさん、信託銀行勤務のU君たち、遅い時間になって往年のドラマ「K先生」に出演していた女優のKさんとMさんを中心とした俳優グループ7人、そこに関西新喜劇のSさんたちが合流して、華やかな一時。2時半過ぎ、Tちゃんと店を出た時に出資者の一人のAちゃんと会ってしまったもんだから、一緒に六本木の焼鳥屋へ。二人とお喋りしながらも俺は明日のライブで朗読する詩の一節が頭の中を巡っている。

2006・12・14

2006年12月15日 | Weblog
午前中に起きてご飯も食べずにまずしたことは、昨日までの現金残高が帳簿と2万円近く合わないので、数日前に遡って計算のし直し。電卓を叩き、お金を一円に至るまで数え直すが、なんどやっても結果は同じ。一時間半の格闘の末、断念。自分のお金で合わすことにする。たかが有限会社と云っても、何人かの人が出資した会社組織だし、足らないからそのままと云う訳にはいかない。でも、役員報酬が何カ月もでないのに(先月は漸く出たけど)、自腹で合わせなくてはならないなんて、何か割り切れない。その後大急ぎで日記を書いて2時に店へ。土曜日の『紺野紗衣ピアノライブ』のリハ。一部と二部と分かれていて、今日は二部のリハ。俺が朗読する原稿を渡されて読み合わせをしたら、読めない字が幾つもあって、元文筆業としては慌てる。『山雀』をヤマガラなんてみんな当然の如く読めるのか?イレズミは『刺青』とばかり思っていたけど、『入墨』とも書くのか?『黒鍵』はクロカギではなくコッケンなのか?ライブ当日までに国語辞典と一度格闘する必要あり。リハ終了後、一度部屋に帰りたかったけど、慣れないことをした疲れからか部屋との間を往復する気力が残ってない。控室で中原昌也の『名もなき孤児たちの墓』を読みだすが、その内眠ってしまう。幸か不幸かお客さんが来なかったので、9時過ぎまで熟睡。こんなこと初めて。お客さんは近所のシルバーモデルMさんたちを含めて5人だけ、売上も3万強。師走なのにイベントやパーティがないと、この始末。小雨の降る中、傘もささずに帰る。

2006・12・13

2006年12月14日 | Weblog
お昼から5時過ぎまで今度の土曜日に催される紺野紗衣ピアノライブのリハにつきあう。音楽には無関係な俺がどうしてリハにつきあったかと云うと、そのライブで俺が詩や自分の日記を朗読することになってしまったからだ。俺は俳優でもアナウンサーでもない、ただの飲み屋のマスターだ。でも、紺野さんにはそれがいいのだと口説かれた。妖精のような紺野さんの瞳で見つめられたら、どんな人でも拒絶は出来ないし、俺も知らない内にウンと云っていた。でも、リハをやってみて、素人の駄目なところがモロに出た。出来るだけ彼女のピアノ演奏の邪魔にならないように朗読したいと思っていたのに、張り切りすぎて、まるで「桃井章が吠えるライブ」になってしまった。そんなもん、誰も聞きたくない筈。猛反省。明後日までには何とかしなくては。一旦店を出て本屋で頭を二時間程頭を冷やして、8時過ぎ再び店へ。AN嬢、プロデューサーのHさん、制作会社WのIさんたち、T酒造役員秘書のNさん、有名俳優のEさんたち、女優のKさんたちで3時近くまで。

2006・12・12

2006年12月13日 | Weblog
今日の公演、音楽集団フィオレットのリハの為に1時に店へ。主催者のIさんにバトンタッチして一旦部屋に戻る。この数日、忙しさにかまけて食事をいい加減に済ませていたけど、今日はアボガドとマグロと鯛の刺身の海苔ワサビ和え、もずくと蛸の酢の物、スクランブルエッグとレタスの柚子胡椒和え、納豆、漬け物、シジミの味噌汁など久しぶりに食べたい物を作って食べる。3時過ぎ、買い物をして再び店へ。今日は50人一人一人に500円分のオードブル皿を出すことになっているので、7本のバケットを200ピースにカットすることから始まって、カナッペ様にタラモサラダ、鮭のほぐし身と水菜のクリームソース和え、煮卵、そしてカマンベールチーズを50ピース作り、真ん中に添えるグリーン野菜とソーセージを用意する。Mちゃんが4時半、Tちゃんが5時に出勤して来たので、二人に手伝って貰って流れ作業でオードブル皿を作る。まるでお弁当屋さんみたいだ。これだけで一仕事終った気分だったが、本番の営業はそれから。8時過ぎに映像カメラマンのYさんが来店したのを皮切りに、メイクアップアーティストのTさん、俳優事務所のKさん、テレビTのプロデューサーOさん、テレビAのKさんたちでカウンタターが埋まったもんだから、今日はかなり混雑するかもと思いきや、後はイチゲンのお客さんが一人だけ。1時には一人もお客さんがいなくなってしまったので、2時までの間、Tちゃんと厨房の掃除をしたり、お酒を飲んだりして時を過ごす。何となく骨休みしている感じ。

この日記を書いている途中、常連の演出家Sちゃんから電話があった。肝臓に腫瘍が出来て検査入院していると親しい人から聞いていたもんだから心配していたのだけど、誤診?だったみたいで、今週末には退院できるとのこと。同い年の友達だけに自分のことの様に安堵した。来週には「水」でも飲みに来いよ、Sちゃん。

2006・12・11

2006年12月12日 | Weblog
夕べ、パーティの後始末がそのままだったのと、今日のイベントの準備をする為に11時には店へ行き、掃除、ゴミだしに始まって、桃井の部屋の調度を倉庫に収納する作業にかかる。夕べの皿洗いもそうだったけど、ただただ肉体単純労働。ふと俺は十年前まで脚本家と云う頭脳労働者だったのに、どうしてこんな仕事をしているんだろうと思ってしまったりするけど、自分の望んで始めたことだし、社長だとふんぞりかえってスタッフをもっと雇って指示命令するだけの経済的余裕がないんだから仕方ない。それにしてもごみ箱からこぼれ落ちた生ゴミを手で拾い集めていると、やはりその感を強くしてしまう。1時に今日のイベントの主催者Oさんにバトンタッチして、2時に茅場町の寺田歯科クリニックへ。かなり強烈?な治療をされていたのに、イビキまでかいて診察台で寝てしまったらしい。疲れている。それでも4時に六本木でAと会って食事しながらお喋り。5時過ぎ部屋に戻って日記と雑務をこなしている内に睡魔に襲われ、1時間程仮眠。夢と現実の間を行ったり来たりしている。8時半過ぎ、食材の買い物をしてから店へ。イベントはお客さんが17人で、終演後も殆ど帰ってしまったので、暇。若干32歳の化粧品会社の常務、Mちゃんと同い年の女優S、遅れてAN嬢がカウンターに坐ったのでお喋りして時を過ごす。他に高校の先輩Sさんたち、制作会社PのAさんたち、美容師のKさんたち。2時半閉店。疲れた。