ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

寝ても覚めても

2018-08-31 23:57:13 | な行

 

東出昌大氏を、カッコイイと思った。

 

「寝ても覚めても」70点★★★★

 

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大阪に暮らす朝子(唐田えりか)は

ある写真展を見た帰り、麦(ばく、東出昌大)という男に出会い

運命的に恋に落ちた。

 

付き合いはじめた二人は、順調に日々を過ごしていく。

だが、ある夏の日、

麦はフラッと出かけたまま、帰ってこなかった――。

 

それから2年。

麦の一件を封印し、東京に出てきた朝子は

あるとき、麦にそっくりな会社員・亮平(東出昌大)に出会ってしまう――。

 

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芥川賞作家・柴崎友香氏の原作を

「ハッピーアワー」の濱口竜介監督が映画化。

 

昔の恋人と同じ顔の人に出会ってしまったら・・・・・・?という

意外に“普遍”な恋愛譚で

 

しかも「劇的ドラマ!」というより

全体、かなーり低空飛行なトーンなんですよ。

そこに、意外性とともに笑ってしまいました(笑)

 

そして、そんな低空トーンに

関西弁が実にふくよかな彩りと

ぷっ、とする笑いをもたらしてくれているんですね。

 

2役を演じ分けた東出氏、なかでも麦(ばく)役は

いままで見たことのないラフなカッコよさでびっくりしましたが

加えて

主演の新人・唐田えりかさんがいい。

黒木華氏に雰囲気が似ているけど

でも実は、あまり“いない“人材で、フレッシュ。

正直、女子に嫌われそうなヒロインを

こう表現できる女優さんは貴重だと思います。

 

映画のテーマは究極、

「自分が飛び込むべきは愛する相手か、自分を愛してくれる相手か?

という感じで

まあ恋愛の根本をついてくる。

 

なので、ヒロインの心や行動に共感できるかはわかりません。

わかりませんが

でも、この

決着といえるのか、いえないのか――ああ~!頭かきむしり!な展開は

リアルともいえる。

 

こうやって、どうにも収まりのつかない日々は

きっとこの先も、続いてゆくのだ――と、

なんだかフッと納得してしまうのでした。

 

★9/1(土)からテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国で公開。

「寝ても覚めても」公式サイト


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