ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ぼくたちのムッシュ・ラザール

2012-07-11 23:42:31 | は行

子どもを描いたものというよりも、
いろいろ難しい状況に置かれている先生方への
応援歌だ、と感じました。

「ぼくたちのムッシュ・ラザール」74点★★★★


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カナダ・モントリオールの小学校で
ある事件が起こる。

代用教師が必要になった学校に
売り込みに来たのは
おひげのラザール先生(フェラグ)。

アルジェリアからの移民だという彼の
誠実そうな雰囲気に惹かれ、
校長は彼にクラスをまかせる。

だが、意外に生真面目なラザール先生に
子どもたちはなかなかなつかない。

やがて子どもたちの心の傷と、

そして先生の
悲しい過去が明らかになっていく――。

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“学校、教育もの”と括るほど単純ではなく、
かといって難しい話ではない。


ちょっとほのぼのいい話、と思わせていて
意外にビター。


この裏切り感が気持ちよく、
カナダ映画だけれど、フランス語圏だけあって
ラストもいかにもフランス的だなあと感心しました。


冒頭、子どもの動きを自然に追う
快活なカメラに導かれ、
やがてハッとする瞬間が訪れる。

朝、教室に一番乗りした少年が見たものは、
天井からぶら下がった教師だったのだ。

代用教師として自ら売り込みにきたのは
アルジェリア移民のラザール先生。

優しげに見えた彼は、
意外に規律を重んじ厳しい先生で、

彼のほうはといえば早速
「口から生まれた」生徒たちに手を焼くことになる(失笑)


学校を取材することも多い身として
見ながら一番感じたのは、

いまや教師は生徒たちを叱るのに、
手をあげるのはもってのほか、
腕を引っ張ってもいけないという学校側の姿勢。

接触により、子からも親からも
何を言われるかわからないから。

ホント、そういう状況なんだなあと
冷え冷えとした気持ちにもなる。


そんななかでも子どもたちは
ラザール先生に打ち解けてゆくんですが、
次第に先生の
つらい過去と真実も明らかになる。


教師とは何か?を考えさせながら、
移民といった社会問題も提起し、

さらに子どもの細やかな心情もとりこぼさない
監督の目線が素晴らしい。

クラス写真を撮るシーンはちょっと感動的でした。

ほかにも、小さなシーンに、
見逃しそうなほどささやかで
しかし雄弁な語りが含まれている。

その奥ゆかしさが美しかったです。


★7/14(土)からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。

「ぼくたちのムッシュ・ラザール」公式サイト

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