また、新たな才能に出会えて
嬉しいです。
「猿楽町で会いましょう」76点★★★★
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小山田(金子大地)は駆け出しのカメラマン。
雑誌編集部に売り込みに行くも
編集者の嵩村(前野健太)に
「で、君は何が撮りたいの?」と
ななめ~な感じの視線にさらされ、辛い日々。
だが、そんな小山田に嵩村は
撮影を希望しているという、ある読者モデルを紹介する。
渋谷で待ち合わせた小山田の前に現れたのは
ユカ(石川瑠華)だった。
一目見たときからユカに「ハッ」とした小山田は
自然な彼女の表情を引き出し、いい写真を撮る。
そしてユカに彼氏がいないと聞き出した小山田は
写真チェックを口実に、猿楽町のアパートに彼女を誘うのだが――?!
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1979年生まれ、あの林海象監督に師事したという(マジ?いいなあ!w)
児山隆監督の長編デビュー作。
東京・渋谷の街で
何者かになりたいと願う
あらゆる若者たちが100億回繰り返してきたであろう、物語。
なのに抗いがたい魅力があるんですよね。
チャプター1、2、3で語られる少しトリッキーな構成。
過度にエキセントリックだったりせず、
ごく普通に傷つきやすく、流されやすい
自然な登場人物たちの造形。
そして、役者たちが実際に
そのどこかを、自分の経験に重ねているようなたしかな存在感。
すべてが結実し
透明にして立体感のある、いい映画でした。
カメラマン志望の主人公・金子大地氏もよかったけれど
ベビーフェイスで華奢で、フツーそうな女の子なのに
セクシャルにもなんともいえない魅力を放つ
石川瑠華がとても良い!
渋谷区アドレス、猿楽町の小さなアパートからスタートし
カメラマンとして立身出世を夢見る主人公。
地方から上京し、女優を目指すヒロイン。
誰もが経験するであろう
「何者かになりたい」情熱と、もがきは
あたかも
遠い昔の自分の青い野望をなぞるようで
(いや、まだ野望あんねんけど?!笑)
でも、これは観ながら
痛みよりも、愛おしさが先に立つ。
そこが、うまいなあと思いました。
同時に思ったのが
若者が、未来を夢見て手がかりにしようとするその手段が
「読モ」とか、雑誌のカメラマンとかである時代は
もうすぐ、なくなるかもしれないなあということ。
なんだか、(いつも以上に)細~い目で
遠くを見てしまうのでありました。
★6/4(金)から渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開。