ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路

2011-04-09 16:55:01 | な行

ショパン、モーツァルト、マーラー
さらにプッチーニと
今年は音楽家の映画が実に多い。

色合いも出来も様々ですが
すべてに共通するものがある。

それは――“女”っす。


「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」66点★★★



18世紀中頃。

11歳のモーツァルトと4歳年上の姉ナンネルは
仲のいい姉弟。


弟はすでに作曲家としても頭角を現し
姉の演奏も歌も一級品。

二人は両親とともに各地を回り
演奏をしていた。


あるときパリ・ヴェルサイユ宮殿での
演奏会を前に馬車が壊れ、

一家は近くの修道院に身を寄せる。


そこでナンネルは
ある少女と親しくなる。


そのことが彼女を
運命の出会いへと導いていき――。



天才モーツァルトに姉がいて
しかも歌に演奏に、さらに作曲にも才能があったけど

時代とある理由で能力を封印した――という話。


一家がまさに旅芸人さながらに
各地を巡業していたとか

知らない事実があり
へええと興味深かったです。


さらにこの映画、
画作りにも俳優にも
ビミョーな素人くささがあるんですが
それが不思議と特長になってる。


特に
ナンネル役の少女のもっさり感は相当で
でも見ているうちに
だんだんクセになる魅力があり


まあどこでこんな女優を見つけたのかと思ったら
監督の娘だった!(笑)


さらにナンネルと親しくなる
重要な役の少女も監督の次女だそうで

どうやら実際、相当な
家内制手工業らしいです。
納得。


映画としてはまとまっているし
悪くないですが

時代に埋没させられた女性の話は
どうしても気の毒さと
モヤモヤが残る。


映画でせめて
彼女のことを知ってあげるのって
いいことなのかもしれませんね。


ちなみに劇中でナンネルが作曲する曲は
女性作曲家マリー=ジャンヌ・セロが
当時を研究しつつ
イマジネーションを膨らませて
新たに作曲したもの。

聴き応えあります。


★4/9からBunamura ル・シネマで公開中。ほか全国順次公開。

「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」公式サイト
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