ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

マザーウォター

2010-10-28 11:46:31 | ま行

シリーズに
いい感じに変化が起こりました。

「マザーウォーター」73点★★★

「かもめ食堂」「めがね」「プール」から続く
(「トイレット」はちょっと別枠ね)
おなじみのメンバーによる
ゆる系ムービー新作です。


舞台は京都。

街中を流れる川に沿うように
水に関わって生きる3人の女性たち。

ウィスキーしか置いていないバーを営むセツコ(小林聡美)
コーヒー屋のタカコ(小泉今日子)
豆腐を作るハツミ(市川実日子)。


そして散歩する女性(もたいまさこ)と
赤ん坊(1歳未満かなあ)
そんな人々をつないでいく、という話。


発売中の週刊朝日の評にも書きましたが
このシリーズは本当に
わかってる人が
そこに流れる空気を買うという感じ。

趣味でもないのに『クウネル』を買う人
いないでしょ?という。

おなじみメンバーの呼吸と間合い。
淡々とした日常と
やさしい色調のセンスいい画。

そして
おいしいごはんのある景色を
まずは楽しみたい、という。

プレス資料の表紙もかわいいよなあ。



ただ、これがあまりに
「おっしゃれ~」で気持ちいい
雰囲気だけに流れちゃうと
鼻白むというか
参加しにくいものがあるんですが


今回はけっこう
素直に「気持ちいいな」と感じました。

まず
京都の裏路地という
舞台の目の付け所がいい。

“水”というテーマが
非常にわかりやすいんです。

そして
小泉今日子さんの登場で
空気にメリハリがついた。
(実はドラマ「すいか」つながりですねえ)


さらに
あまり子どもに縁がなさそうだったこの世界に
「ポン」と赤ん坊というモチーフを
入れたのも新しい。

しかも町中で育てる子ども、というのがポイントで
次なる潮流を感じさせました。


なんか回を重ねるごとに
こういうシリーズって
必要だなあと思ってきました。

つまりは『寅さん』みたいなものかなあと。

ぜひ続いていって欲しいですね。


★10/30からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。

「マザーウォーター」公式サイト
コメント (2)
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