季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

コルトー著 ショパン

2014年07月17日 | 音楽
コルトーの「ショパン」(河上徹太郎訳)を再読した。

聞くところによるとこの本は絶版だそうだ。

決して読みやすい本ではない。コルトーの文章が修辞過多の気味があるところへもってきて、河上さんの日本語が例によってざらざらした手触りで、ちっとも読み進まない。

河上さんと小林秀雄さんの対談で、小林さんが「いつまでも文章がへたくそだと思ったのは河上だけだよ」と語る場面があって、なかなか味がある。そうか、誰からも認められる悪文だったのだな、と変な感心の仕方をする。

コルトーの本についてひとことだけ言っておこう。

彼はショパンを論じるに当たり、まずショパンの手について考察する。手の石膏像が残されているのだが、それを様々に語りながらショパン自身の演奏を想い起こそうと力を傾ける。こんな語り口はピアノを実際に演奏している人でなければできないと思わせる。

内容について書く必要はあるまい。興味のある人は読めば良い、それだけだ。
コメント
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