季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

なぞなぞ

2016年02月20日 | 音楽
小学四年生がある所で貰ってきた講評だ。


テーマと終動的動きの色が響きだせると構成も生かせます。

早い動きが小さいまとまりで、うしろの流れ込む感じで、うたう方向が薄くなるようです。

これはその一部であるが。

親御さんが、自分が素人なので理解できないので、と尋ねてきたので読ませて頂いた。

ところが専門家であるかもしれない僕にもチンプンカンプンなのである。

かねてから僕は専門家ではないのかも、と恐れを抱いておった。その恐れは今や現実のものとなった。

かつて園田高弘氏と仕事をする機会があった。君、ショパンのスケルツォは拡大法で書かれていますからね、と教えを受けた。

そうか拡大されているのか、楽譜を遠くに置いたら原寸大なのかも知れない、と遠く離してみたが、音符も読めなくなる有様であった。

あの時すでに僕は専門家ではないのかも、と気づくべきだったのだ。

専門家恐るべし!
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メンデルスゾーン

2016年02月03日 | 音楽
この人ほど冷遇されている天才も少ないのではないかと思わせる。

冷遇なぞされていない。天才だというのは誰もが認めるところだ、という人はもちろんたくさんいる。

しかしどのように演奏されているかを正直に見てみれば良い。

一番取り上げるのはヴァイオリン奏者、学習者だろうか。何と言ってもヴァイオリン協奏曲はポピュラーなのだから。しかしその場合でも、軽めの難曲という態度ではないか。

ピアノに至ってはほとんど無縁のまま過ごすことさえある。

メンデルスゾーンの楽曲はウェーバーの直截的な激しさとシューマンの内省的な激しさとを併せ持ちながら、極めて抑制の効いたものが多い。

音楽家のなかで貴族的と言って差し支えのない、ただ一人の作曲家。彼の家柄はもちろん貴族ではないけれど。

僕はふだんそのような形容を好まないけれど、高貴な佇まいを感じる唯一の作曲家だ。

それなのに、ではなぜピアノ奏者は取り上げないのか。僕の答えは簡単明瞭である。難しいのだ。そしてそれを痛感している人はそう多くない。

難しさを感じていない人の弾くメンデルスゾーンはまず例外なく散らかっていて、技術の不備が露わになっている。

試しに無言歌集の第1番でも弾いてみたまえ、神経がすり減る思いをするはずだ。もしこの平易に聞こえる曲の美しさを余すところなく実現させようとするならば。

例えば無言歌を3.4曲組み合わせてプログラムに入れたらどんなに美しいだろう。

しかし頭の中で響かせるのと実際は大いに違う。美しく弾くには恐ろしく弾きづらい音型が並ぶのである。

しかも要する時間はせいぜい12,3分だから、他の曲を当然沢山用意する必要がある。メンデルスゾーンのために他の曲を練習する時間がなくなりかねない。

発想をガラリと変えて、アンコールに弾いたら、これはこれで素晴らしい。しかし難しいことには変わりがないから、アンコールの曲を沢山練習する必要に迫られ、本プログラムに影響が出る。これではアンコールとして不適当だと言わざるをえない。

小学生高学年には理想的な教材でもある。子供はそこまで美しく弾くことは出来ないけれど、こうした曲に接することで音楽の趣味が良くなることは間違いない。

ところが昨今のコンクールの乱立はさておいても、点数が付く場では、点数を取ることが難しいのである。

これははっきり言ってしまえば審査員の耳及び音楽への理解があまりにステレオタイプで未熟だというのも一因なのである。

チャラっとした曲をそれらしく弾くと才能を認めるが、珠玉のような曲を苦労していると才能の不足と断じる。バカを言ってはいけない。

しかしそれが哀しいかな現実なのだ。かくしてメンデルスゾーンを弾く機会は失われてしまう。

後々「厳格なる変奏曲」や「スコットランドソナタ」を弾くことになっても、とんでもないプロコフィエフの演奏や近現代のお粗末な演奏の方がずっとずっと簡単に点数を稼いでいくのである。

僕が冷遇された天才というのは以上のようなことだ。

メンデルスゾーン自身が「真夏の夜の夢」や「フィンガルの洞穴」を連弾にしている。ある程度ピアノを弾ける人は是非やってごらんなさい、大変美しいです。
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講座の録画

2016年02月02日 | 音楽
一昨日の講座を一部分だけ録画して、youtubeにアップしてみた。

パスワードが必要なのだが、それを忘れて再設定する処から始めたのでイライラし通しだった。

2場面したのだが、どうしてか分からない、同じものがもう1つアップされている。しかも驚くなかれ、ジャンルが音楽ではなくてコメディになっている。

これを訂正する方法はあるに決まっているのだが、僕には分からない。そのうち誰かが教えてくれるだろうと横着を決めこんでいる。

いいさ、人生は喜劇だ、と誰だったか偉い人が言ったよね。それなら僕の動画がコメディであっても当たり前だと言えよう。

HPにも講座のカテゴリーに貼り付けてあるのでそこでは容易に見られるはずだ。

ほんの短い時間だが、記録として残しておくので、関心のある人は見てください。
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