パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

まだ若いのに…

2009-05-12 20:27:27 | Weblog
 近所の古本屋にぶらりと入ったら、ラジオが流れていて、そこで、日本政府のインフルエンザ対策を、「正気の沙汰ではない」と外国メディアが批判報道しているらしいことを話題にしていた。

 立ち聞きなので、全体の流れとかはわからないのだが、日本政府は、「水際対策」とかで一台300万円の器械を30台とか300台とか購入したんだそうだ。

 30台と300台では金額がずいぶんちがうが、要するに、外国メディア(あるいは、外国メディアに登場した専門家)は、完璧に水際で防ぐことは不可能なことはわかりきっているので、同じ金額を使うなら、「国内感染」への対策を考えるべきだというのである。

 また、カナダで感染した高校生の一行がマスクをしていなかったことに批判が集まっていることに対し、まさに「正気の沙汰ではない」と批判していた。

 そそもそも、マスクをしていれば防げるなんてものではない。

 実際,ちょっと前まで、マスクの着用は、被感染者がウィルスが混じった咳などを他人にかけないためであると解説されていたと思うが,そんなことはどこへやら。

 元来,インフルエンザというのは冬に流行るもので、これから大流行する可能性は低いが、ただし、一夏越えた今年の秋冬がやばいらしい。

 ウィルスが活動しやすい環境になるし、またウィルスそのものが強力なものに変身する可能性があるからだそうだ。

 斯く語っていた人物は誰なのか、立ち聞きだったので、わからないのだが、専門家による冷静な解説が必要なのに,テレビでは専門家がまったく出てこないのが問題である、と話を締めくくっていた。

 もちろん、テレビにも全然専門家が出ていないわけではないけれど、発言内容について、「マスクの効能を否定するようなことは言わないでくれ」とかななんとか要請されているような感じだ。

 そして、発言時間が極めて短い。

 三木たかしが死んだ。

 大和田獏が「まだお若いのに」と言っていたが、この台詞,最近あまり聞かなくなったような気がする。

 忌野清志郎の場合も、「まだ若いのに」じゃなくて、ロッカーとして前進し続けた末の戦死(バカバカしい…)といったイメージで語られているような気がする。

 「まだ若いのに」だと、もう表現として当たり前というか、陳腐になってしまったのだ。

 「まだ若い死」が当たり前になったのだ。

 マスコミはいい加減日本の平均寿命が高いことに疑問を呈すべきだ。

 西丸震哉をはじめ、多くの医者,科学者がずっと前から指摘していたことだが,平均寿命というのは、要するにその年に亡くなった人の平均年齢なのだ。

 だから、乳幼児が大量に死んでいた昔は平均寿命が短かった。

 アフリカ等では平均寿命が30歳とか言うと、みんな30歳で死んでしまうように思うが,そうではない。

 幼児の死亡率が高いことと、若くて戦争等に巻き込まれての事故的死が多いことで「30」という数字が出てきてしまう。

 要するに日本の平均寿命が高いのは、新生児の死亡率が極めて低いことと、寝たきり老人の数が極めて多く、かつなかなか死なない(死なせない)ことで高くなっているにすぎない。

 「死なせない」というのは、欧米では、自分で食物を飲み込めなくなった老人は、無理に食堂を切開してそこから栄養物を流し込んだりはしないことになっているからだ。

 もっとも、その欧米でも植物状態の患者から延命装置を勝手に外すことは「殺人」になるみたいだから、その辺の基準はちょっとよくわからない。

 たぶん、食事をうけつけなくなった人間は、それが当人の「意志」として扱われるのだろう。

 日本の倫理基準ではそういうことはできないとか言うやつが多いだろう。というか、そういうのがほとんどだろうが,日本には「世間道徳」はあっても、「倫理」なんかない。

 だから、臓器移植も進まない。

 昔から日本人は「倫理」も輸入してきたのだし、それはちっとも恥ずかしいことではない。

 「臓器移植」については、それが行われている国の基準をそっくりそのまま「輸入」すればいいのだ。

 立花隆の、「脳死臨調批判」という文庫本を読んでつくづくそう思った。

 立花は、「日本人はアニミズムを信じている民族なので,遺体をただちに切り刻んで活用することを認めることができない」という。

 だったら話は簡単だ。臓器移植は禁止すればいい。

 外国で移植手術を受けたら厳罰に処すとすればいい。

 でも、それができない。

 だったら、臓器移植を可として盛んに行われている社会の倫理、および科学的基準、をそのまま輸入すればいいのだ。

 ミクシーで知り合った二十歳の大学生と十七歳の女子高生が大学生の自宅で淫らな行為に及んだということで、大学生が逮捕された。

 大学生は容疑を認めているという。

 なんのこっちゃである。

 20歳の男と17歳の女が性行為に及ぶことは日本の倫理基準にそぐわないのか?

 警察,検察はそう考えているらしい。

 それとも、ミクシーだからいけなかったのか?(案外そうかも)

 驚くべき世の中である。

 別に恐ろしいというのではない。

 全然恐ろしくなんかない。

 ただ、ばからしすぎるばかりである。