パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

吃驚!

2008-11-03 21:35:44 | Weblog
 吃驚したことに、中国では農村戸籍と都市戸籍があって、農村戸籍の者は原則的に,都市に住むことはできないんだそうだ。

 住むどころか、農村戸籍の者が都市で働くことも原則的にできない。都市で働こうと思ったら、その都市の当局から許可証、つまり、ビザのようなものの交付を受けることが必要で、しかし、交付を受けて、都市に晴れて住むことが許されても,許されるのは当人だけで、子供は、たとえば義務教育を受けることもできなんだそうだ。

 どこかの会社で働くとしても、都市戸籍をもつ社員が健康保険を始め、各種保険、年金を会社側が相当の割合(4割近くらしい)を負担するのに対し、農村戸籍の社員にはそのようなものは一切なしだそうだ。

 子供に義務教育を受けさせることもできないのだから、医療等は推して知るべしであろう。

 このように決まったのは別に昔からの伝統でそうなったというわけではなく、1958年の人民会議で、多分,毛沢東の指示だろうが,都市戸籍と農村戸籍を分けることが憲法に書き込まれたんだそうだ。

 なんでだろう? 岡田英弘氏によると、中国は、「漢」が、三国志でおなじみの黄巾の族の反乱で滅亡して以来、各王朝は、必ず決まって、農村から都市に流入してきた過剰になった人間がの反乱で滅亡する繰り返しだったという。

 つまり、戦乱を終結させればやがて経済が発展し、都市は豊かになり、その富を求めて農村から人がやってくるが、その人々をすべて食べさせるほどの力はなく、新王朝は間もなく崩壊し、やがて新々王朝が後を継ぐと、やがてまた経済が発展し、都市は豊かになり、その富を求めて農村から貧しい人々が…の繰り返しが中国の歴史だと言うのだ。

 もしかしたら、毛沢東は、この轍を踏むことを恐れて,憲法に都市住民と農村住民を分けて、農村住民が都市に流入することを防ごうとしたのかもしれない。

 理由はともかく、その弊害が最近あまりにも大きくなってきたので、中国当局も「改善」に乗り出してはいるが、正直言ってめどは立っていないらしい。

 そうだろうなあ、と思う。

 なぜって、そもそも、近年の中国の経済発展をどう見るかにしたって,農村の住民に対する徹底差別政策があったにも関わらず、高成長してきたのか、それとも差別政策があったが故に、高度成長を果たしたのかどちらかと言ったら、明らかに、都市戸籍と農村戸籍の「差」を利用して農村住民を搾取し放題に搾取してきた結果だろう。

 新聞等は、中国の生産コストが低く抑えられたままの理由を、農村に無尽蔵の働き手が控えているので賃金上昇が抑えられていると言っていたが、実際には、制度的に低く抑えることが可能だったのだ。

 おかしいなとは思っていたのだ。いくら中国の人口が多いったって、「無限」というわけじゃないのだから、制度の助けがなければ、あんな低賃金は絶対に維持できない。

 まったく、いつも決まって肝心なことを報道しないアホバカ糞マスコミめが。

 と、相変わらずのマスコミ攻撃で、今回も、お開きということで。