パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ドドーン、ドドーン

2007-07-10 20:48:37 | Weblog
 例によって、ラジカセで、「映像なし、音だけ」のNHKテレビのニュースを聞いていたら、ドドーン、ドドーンという音が聞こえてきた。重武装して、人質をとってモスクに立て篭った過激派神学生たちとパキスタン軍が大砲を使って戦っている様子を伝えているのだが、「ドドーン」という大砲の音に、ついさっき聞いた記憶がよみがえる。

 それは、チャイコフスキーの序曲「1812」という曲で、最後の方でフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律と、ドドーンドドーンという大砲らしき音が重なるのだが、なんだろうと思って調べたら、序曲「1812年」とは、まさに1812年のナポレオンのロシア侵攻、敗北をテーマにした曲で、本物の大砲を使ったことで有名なのだそうだ。

 「へー、あれはやっぱり本物の大砲の音だったんだ」と思っている時、ラジカセから、同じ音が聞こえてきたのである。

 ただ、今ではあまり本物の大砲を使う事はなく、シンセだったり、大きな太鼓で代用したりしているらしいが、私の聞いたのは、あれは本物だと、ニュースの音を聞いて確信した。

 ちなみに、ロシアがソ連だった頃、国をあげて作ったボンタルチェク監督の超大作映画、『戦争と平和』では、クライマックスのナポレオン軍退却シーンなんかで、きっとこのチャイコフスキーの「1812年」が使われているのだろう……と思って調べたが、それはなさそうだった。
 なんでだろう? 「1812年」は、ナポレオン戦争(ロシア側呼称では「祖国戦争」)関連のイベントに合わせてイベント主がチャイコフスキーに発注したものだが、チャイコフスキー自身があまり気乗りせず、ずっとほっておいたら、「できたか?」と連絡が入り、あわてて一ヶ月で仕上げたという話があるくらいで、実際、フランス国歌をはじめ、いろいろなメロディーをあちこちから寄せ集めて、「お手軽」に作った印象があるけれど、今ではかえってそれが「メディアミックス」風の効果を出していて面白いのではないかと言えなくもない。

 なお、私の持っている本物の大砲入り「1812」はダイソーの100円CD。このシリーズは、残念ながら、最近、店頭で見かけない。

 ところで、チャイコフスキーと言えば、今年のチャイコフスキーコンクール、バイオリンの部の優勝者は、名前は忘れたが、日本女性だった。21歳だが、14歳ぐらいからプロとして世界的に活躍しているので、周囲の人は、「チャイコフスキーコンクールとはいえ、今さらコンクールに出る必要はない」と言って止めたが、本人はどうしても腕試しがしたいとで、反対を押し切って出場して見事、審査員、観客たちの圧倒的支持を集めて一位をしとめたらしい。近頃、若い人の言う、「脚気ー」いや、「カッケー」とはこの事であろう。

 その彼女曰く、「ロシアで、外国人がチャイコフスキーを演奏するのは、日本で言えば演歌を外国人が歌うようなものでしょうね」は、蓋し名言。本当にチャイコフスキーって、「演歌」だと思う。


 話は変わり、赤城農相、安部首相ともに依然として、「法律に違反していないから」の一点張りの姿勢を崩さず。
 私は、正直言って、赤城農相が「つけかえ」のような不正な行為を行っているとは思わない。しかし、だとしたら、なんで領収書等の開示を拒むのだろう? 
 安部首相は、「たかだか800円くらいで」と言っているが、そんな風に言われれば言われるほど、国民はこだわってしまうのではないか。「たかだか800円のことを、何故隠すのか」と。私のように、不正を疑っていない人までもイライラさせるこの対応は、最悪と言わざるを得ない。

 今のままの態度を続けていると、社保庁問題よりも、この「800円問題」が致命傷になるのではないかとすら思う。(私が思うに、安部首相の不思議な対応は、日本の「真の支配者」である高級官僚たちが、「法的根拠なしに事を行ったら、日本の秩序が根底から壊れる」とかなんとか、巧みに吹き込まれているせいではないかと考えているのだが……)