パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

微妙~

2007-07-22 21:48:54 | Weblog
 少し前の話になるけれど、村上ファンドの村上代表が、ホリエモンによるニッポン放送株買収問題にからむ取引で、インサイダー情報により不当な取得を得たとして執行猶予なしの実刑判決が下ったが、サンケイ新聞は、「(村上被告の)拝金主義を断罪」と報じていた。

 サンケイ新聞はなんでこう頭が悪いか。今朝の、報道2001でも、キャスターの黒岩某が、神戸震災なみの直撃を受けた柏崎原発について、東電の社長が、「想定外の経験だったが、これを今後に生かして行きたい」と言ったところ、「それじゃあ、困るんですよ。頭の中で全部わかっていてくれなければ」と反論していた。

 東電社長がどう答えたかは憶えていないが、黒岩は頭が悪過ぎる、というか、センスが悪過ぎる。(「頭の中」ではなく、「現実」から情報を読み取ること、これを工学的センスというのだ)

 その後、同番組(報道2001)ではなかったが、社民党の福島瑞穂が現れ、「(東電の説明は)信じません。我々が直接確かめます」と言っていたが、原発の内部が公開され、それをワイシャツ姿のマスコミ関係者が取材している様子を見れば、少なくとも、放射能漏れに関する東電の説明が事実である事はわかるだろうに、これも頭が悪過ぎる。
 いずれにせよ――黒岩や福島のバカが何をほざこうが――今回の柏崎原発を襲った直下型地震は、実験室では絶対に再現できない貴重な「実験」だったのであり、国際監視機関が現場を見たいと言うのは当然だし、またこれを受け入れれば、これだけの地震でも放射能漏れを起こさなかった事を世界にアピールできる絶好のチャンスだと思うのだが、日本政府はなんで断るのか。

 多分、塩崎官房長官が、「いや、断ってはいない」とか、しどろもどろで弁明するのだろうが……神戸の震災の時も、外国からの救援を日本政府は当初断っていた。現地の事情に疎い人にこれらても足手纏いになるだけ、という役人の判断なのだろう。「日本語」という壁もあるし、その懸念も、わからないでもないのだが、後々のことを考えれば、たとえ、足手纏いになったとしても、受け入れた方が賢明と思う。

 それはさておき、村上代表のインサイダー問題だが、村上は、ホリエモンの計画(ニッポン放送株の取得)を「たまたま聞いちゃったんですよ」と言っていたわけだが、判決では、ホリエモンの「計画」は、実は、村上の発案になるもので、ホリエモン(ライブドア)は、そのシナリオに乗ったものなので、当然、インサイダー取り引きになる、ということらしい。

 しかし、仮に、村上がホリエモンに吹き込んだことから話が始まったにしても、村上はライブドアの社員ではないのだから、自分がホリエモンに吹き込んだ話が、ライブドア内部でどう処理されるかはわからないはずだ。

 つまり、ニッポン放送株を買い進んだ村上の脳裏には、かつて自分がホリエモンに吹き込んだ事実、そして、それにホリエモンが乗るであろうという「推測」が存在していたにちがいないが、それを決定するライブドアの、内部会議に、村上が出席することができない以上、それは、あくまでも、村上の「推測」に止まる。つまり、微少とはいえリスクが存在するわけで、だとしたら、村上の行為はインサイダー取り引きではないということになるのではないだろうか。

 まあ、たしかに村上とホリエモンの関係は、「微妙」ではあるようだが……いずれにせよ、サンケイの言う通り、「拝金主義」故に罰せられたのであったりしたら、たまったもんではない。(しかし、その可能性は、昨今の風潮を見るに、結構強いようにも思う。)