パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「赤いモスク」事件の主役は中国だった!

2007-07-14 20:45:41 | Weblog
 さて、いよいよ参院選挙も告示されたところで、年金問題をまた取り上げようかと思ったが、いささか食傷気味と思われるので、今回は、パキスタンのモスク立て篭り事件について。

 というのは、この事件は、一体何が原因でこうなったのか、全然分からない。2chを見れば、たいていの場合は、関連ブログ、ニュースサイトなどが張り込まれているものだが、それが全くなく、イスラムはバカだとか、そんな書き込みばかり。中に一つだけ、「この事件の背景を知りたいのだが、それが全然わからないのでイライラしている」という書き込みがあったので、この事件については報道が酷く不完全だという私の印象は、必ずしも私の調査不足とか読み不足とか、そういうことではないことがわかったのだが、さて、ではどこでどう調べたらいいものかと思ったが、さっぱりわかず、とりあえず、最近、あまり面白くないので見ていなかった極東ブログを覗いたら、なんとびっくり、今回の事件は、中国との関係が極めて深いらしい。

 詳しく(といっても、ニュースソースを並べてくれているくらいだが)は極東ブログを見てもらいたいが、簡単にまとめると、パキスタンの首都、イスラマバードの中国人が経営する鍼灸院で売春が行われていることを怒った一部の神学生たちが、ここで働いている中国人7人(女性6人男性1人)とパキスタン人1人をモスクに拉致した。
 これが6月23日のことで、拉致された中国人7人は中国の抗議の結果か、即日釈放されたが、その後、7月9日に3人の中国人労働者が路上で射殺された。(この中国人が絡む二つの事件の関連性は今一つわからないが、神学生による「中国人釈放」に対する報復だったらしい)

 いずれにせよ、この後、間もなくパキスタン軍が強行突入して70人を越す死者が出たわけだが、この時にはモスクに拉致されていた中国人女性は皆釈放されていたわけだから、中国の存在はもはや関係ない……と普通に考えれば思えるのだが、実は全然そうではない。事件後、ムシャラフ首相自身が、事件と中国の関係について公式記者会見で次のように言っているのだ。

 《ムシャラフ大統領はスーツ姿で約30分にわたり演説。神学生らが6月に中国人7人を拉致した事件について「恥ずべき行為」と非難、中国の胡錦濤国家主席から中国人の身の安全を電話で要請されたことも明らかにした。》(共同通信)

 断っておくが、この会見はモスク立て篭り事件の終了後、行われたものだ。つまりムシャラフは、「中国人女性拉致事件」が事件の本質だったと明言したのだ。

 ここまでの話をまとめると次のようになる。

 6月23日、パキスタンの神学生が中国人をモスクに拉致したが、中国政府の抗議で釈放した。しかし、ムシャラフは強行突入を命じた(この間、7月9日に3人の中国人射殺事件が起きる)。事件後、ムシャラフは公式会見で、「(問題の発端となった)中国人拉致は恥ずべきことだった」と中国政府に配慮(謝罪)する発言を行った。

 実は、今回の事件報道で、立て篭った神学生たちは「無罪」を主張していると現地派遣の記者がマイクを手に言ったのを、テレビでちらりと聞いた事があるような気がするのだが、何についての「無罪」かがわからない。もしかしたら、武器を貯えていることを言っているのかもしれないなどと思ったのだが(サンケイの社説は、そんな風に書いてあった)、実は「中国人拉致事件」について「無罪」を主張していたのだ。

 だとしたら、「即日釈放」したのだから、「無罪」とまでは言えないにせよ、殺されなければならないほどのことでは、絶対になかったはずだが、ムシャラフはそれを聞き入れずに強行突入を命令した。何故? 事件後の会見を見る限り、ムシャラフは、中国人を釈放しても拉致した罪は消えないとする中国政府の意を受け入れたものと考えられる。

 もちろん、中国の狙いはパキスタンに対する影響力を強める事にある。そのためのチャンスはなんでも利用する。

 毒入り薬品、毒入り食品を世界にばらまいて多くの死者まで出していると言うのに、発展途上だからしょうがないと言わんばかりの厚顔無恥。アメリカ人の中には、いずれ市場原理が解決してくれるよと楽観している者もいるようだが、私としては、「嗚呼、禍なるかな中国人よ」と言わざるを得ない。