パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

夫婦に生まれた子供は、夫婦の子供と推定する。ん?

2007-04-16 23:43:56 | Weblog
 離婚後300日以内に生まれた子供は一律、前夫の子供とみなす(正確には「推定」)という、民法772条の規定見直しをすすめようという与党推進派に対し与党反対派が待ったをかけ、それを法務官僚が後押しし、結局継続審議というようなことになったようだが、報道では今ひとつ、事情がよくわからない。
 それで、調べてみたら、要するにこういうことらしい。(女性が離婚後、再婚して生んだ子供の父親の認定の話であって、再婚しない場合は、推進派、反対派いずれも、「問題外」としている――そりゃそうだろう)
 
 推進派の主張→「離婚前」の妊娠であってもDNA鑑定等で判明すれば、再婚相手が父親であると認定する。

 反対派(実質、法務官僚)の主張→「離婚後」の妊娠に限り、医師の証明書があれば、再婚相手が父親であると認定してもよい。

 これは、サンケイ新聞の「紙面批評」というコラムで、中川幾郎という大学教授が整理してくれたものなのだが……要するに、法務官僚は、民法772条の運用について、「今後は医師の判断を受け入れます、300日規定を杓子定規にあてはめることはしません」、と言っているのである。
 しかし……「離婚後に妊娠したケース」について適用するというのだから、結局、300日規定とちっとも変わらないと思うのだが……。

 法務官僚としては、今問題になっている規定の見直しは、法律に込められた思想(=民法772条について言えば、婚姻関係の保持を是とする思想)を変更することにつながり、そうであれば、素人さんは知らないだろうが、他の規定に見直しが及ぶから、こっちは大変なんだい!というのが本音なのだろう。

 しかし、逆に言えば、たとえば、憲法改正についての国民投票法案が成立しそうだが、この法案で投票有資格者を18歳以上としたことで、これまで散々もめにもめて結局実現していない、二十歳未満を少年とみなす少年法の抜本的見直しが、たちまち実現しそうだ。

 「変化」を厭う法務官僚を、一概に「怠け者」だからと決めつけることは適当でないかもしれないが、アメリカのギングリッチという、ちょっと前の名物政治家が、ビーチバレーの大会でスピーチに立ち、「役人共には、絶対に考え付かないスポーツだ!」と言って、観客の失笑をかったという話がある。

 実は、私は、これは案外「名言」じゃないかと思う。

 「なんでもいいから、やってみるべし」、ということもあるのだと思う。