パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「音」が見える?

2007-04-24 14:35:41 | Weblog
 久しぶりに「夢」の話。

 私は誰かと喋っているが、その人の肩ごしに、矩形に区切られたニューヨークのエンパイアステートビルの頂上部分が見えている。
 矩形に区切られているということは、窓越しなのか、大型テレビの画面なのか、どちらかなのだが、ともかく、そのエンパイアステートビルのてっぺんがぽっきりと折れて画面下に消えて行った。

 「わ、これは大変だ」と思った。数秒後には物凄い轟音とともに、下界は阿鼻叫喚の場と化すに違いない。

 しかし、夢はそこまでには至らず、次の場面で私は自転車に乗って街を走っている。そこは新宿の裏通りで、ニッカボッカスタイルの建築作業員が働いている。その作業員に私は聞いてみた。

 「さっき、エンパイアステートビルのてっぺんが折れて落下したのだけれど、知ってる?」

 すると作業員は、

 「知ってるよ。凄かったねー。ここまで爆風がわっと押し寄せて来てさ」
 と言った。私はそれを聞いて、「なるほど、そうだろうなあ」と思った。

 ……というもの。

 東京とニューヨークがごっちゃになっているが、なんで、こんな夢を見たのだろうと、朝、電車の中で考えているうち、「あ、これだ」と思い当たった。
 それは、ちょうど昨日の夜、TBSラジオをなんとなくつけていたら、プロ野球放送がないため、二人のアナウンサーの雑談で埋めていたのだが、そこでTBSの秋山さんがソ連の宇宙ロケットで宇宙旅行をした時、その実況中継をした思い出話をしていた。
 これがなかなか面白かったのだが、中でも面白かったのがエネルギアロケットの発射実験を目撃した時の話である。

 エネルギアロケットというのは、アメリカのスペースシャトル計画に対抗する目的で作られた重量物運搬ロケットだが、アメリカのサターン月ロケットすらしのぐ大推力を誇っていた。
 ただし、このエネルギアロケットは実験段階でソビエトが崩壊したために、宇宙に打ち上げられることはなく、秋山さんもエネルギアの前のソユーズロケットで打ち上げられたのだが、TBSのアナウンサー氏は、このエネルギアのエンジン全開テストに招待されたのだそうだ。

 この時の轟音が物凄かったというのだ。秋山さんが乗ったソユーズロケットは、5キロほど離れて中継したが、エネルギあの場合は、50キロも離れていた。10倍も離れているというだけで、その物凄さがわかろうというものだが、アナウンサー氏が言うには、「音」が見えたと言うのだ。
 というのは、エンジンに着火した場面を見ても、すぐには音がやって来ない。もちろん、ソユーズの場合も、「音」は遅れてやってくるのだが、距離が5キロだと……たぶん、5秒ほどの遅れである。ところが、エネルギあの場合は、「50キロ!」である。ということは、「音」は、ほぼ1分遅れ!でやって来る。
 正確に言えば、実際に見ているのはテレビのモニター画像で、そこで「着火」したと見て取ってから、1分遅れで音がやって来るのだが、アナウンサーの言うことには、その音が「やって来る」様子が、本当に「見える」のだそうだ。そして、「来た!」と思った瞬間に、轟音と共に皮膚がびりびりと震える。
 音が「見える」というのは、多分、大気中の微粒子が音波で震える様子が「見える」のだと思うが、ともかく、そんなことをラジオ越しに聞いていて、「凄いなー」と思い、その夜、エンパイアステートビルの天辺が落下する夢を見たのだ。つまり、それは、「物凄い音」を聞いてみたいと思っていたことを夢で見ようと思ったのだが、実際にそこまでの「凄い音」は聞いたことがないので、建築作業員の証言で我慢した、と、そういう夢だったのだ。

 ちなみに、音波は疎密波、つまり縦波だが、光は横波である。もし光が縦波だったら、たとえば隣の部屋のステレオの音が漏れて来るように、隣の部屋の新婚さんの様子だってなんだって、「壁越し」だろうがなんだろうが、全部わかっちゃうことになる。どきどき……って、どきどきしてる自分も全部見えちゃうのだが。

追伸 新しいブログ、「正気か、狂気か」を作りました。「犯罪」についてのブログです。今の日本、決して犯罪が多いとは思わないのだが、なんか、いや~な感じの犯罪が多い。それに警察の捜査能力の著しい低下が輪をかけて、なおさらすっきりしない。出よ! 論ずるに足る犯罪!(なんてあるのかな?ということも含めて)