パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「多窓口一列並び左右振り分け方式」の功罪

2007-04-11 22:09:38 | Weblog
 「ちょい悪おやじ」のジローラモ(しかし、「ちょい悪おやじ」って、ちょっと悪っぽいのがセクシーで、若い女にももてるということなのだろうが、ジローラモさんは、真面目そうで、そんなに「悪」っぽくないし、特にセクシーとも思えないのだが……どうなんだろう)が、サンケイ新聞のコラム「断」の新執筆メンバーになった。
 しかし、テレビなどで見るジローラモさんは、そんなに喋りがうまいわけでもないし、「ちょい悪おやじ」ったって、書いたように、私はそんな風に見ていないので、今さら執筆メンバーになっても、どうせ大した事はないだろうと思って、読んでいなかったのだが、今日、読んで、おや、と思った。
 意外に面白い。肩書きを見ると、「エッセイスト」となっていた。「ちょい悪おやじ」として選ばれたのではなく、エッセイの専門家として選ばれたようだ。だとしたら、面白いのも納得だ。

 で、今日、読んだエッセイのテーマは、「行列」だった。

 中国では誰も行列を守らないという話をよく聞くが、上海に実際に行ってみたら、そうでもなかった。翻って我がイタリアはというと
 ――『わがイタリア人は、入り口に向かって渾沌とした不確実な集団を形成し、到着した順に自分の順番を主張しながらクリアする。店員や窓口の担当も大胆かつ緻密に捌いていく。この客と担当、そして客同士のせめぎ合いはDNAレベルの問題で、学習や慣れといったことでは外国人にはとてもクリアできないに違いない』……。

 いや、なかなか面白い。

 もっとも書いている中身が本当に深いレベルで面白いかどうかはわからない。たとえば、日本の満員電車で、密集集団の深奥から出口に向かって脱出する方法など、「学習や慣れといったことでは外国人にはとてもクリアできないDNAレベルの問題」に外国人から見れば見えるかも知れないが、そんなことはないということを日本人ならばわかっている。
 
 ところで、そのジローラモ曰く、日本の主流である「フォーク形式」(ジローラモは「多窓口一列並び左右振り分け方式」と形容していたが)は「少々気に入っている」。何故なら、「何もせず、何も考えず、ただ並びさえすればことが達成できる」からだ。
 
 なるほど「行列のメカニズム」だね。これなら、このエッセイも深く読めるように見える。でも、やっぱり、それはあくまでも、そう「見える」だけ。でも、それでいいのだ。ジローラモは、続けて次のように書いている。

 『ただ、心配なのはこのシステムが将来生まれて来る子供達のDNAに保存され、単なる平均的な平和集団になりやしないかということ云々』

 ジローラモのエッセイは「半分冗談」なのだ。ということは、半分は「真面目」な話でもあるわけで、どっちを主に読むかは読む人次第だ。
 ところが、このコラムのタイトルは、「行列から世界が見える」と、まるで民族文化論みたいな表題になっている。これは、多分サンケイ側がつけたタイトルだろうが、真面目過ぎる。

 半ば義務感にとらわれて、ジャニーズJr.の(多分……ちがってたらメンゴ)「百識」を見る。
 とはいえ、前からチャンネルが合うと、ついつい見てたものだが、見て、改めて思った。彼らの武器は、1にも2にも3にも4にも5にも、「若さ!」だってこと。
 だとしたら、オレだって90のじいさんから見れば、「若い」。

 がんばるぞ。

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