Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE505. 大きな差

2012年10月30日 | Kyoto city
 最近、日本製品がダメになったことと、PCの普及とは関係性があるといわざるを得ない。
 CADで図面を書くようになってから、絵が全く描けない学生が増えた。こうなるとフィールドで民家の測定をしながら、野帳にメモを書き留めるなどということは不可能である。せいぜい能率が悪いノートPC持参で打ち込むほかない。かっては図面はすべて手書きだったから、建築を専攻する学生は、当然スケッチができた。早稲田大学などは入試でデッサンを課していた。それぐらい建築は、スケッチのできることが重要な資質だったのだ。
 手には脳みそがはいっている。そう断言した著名なプロダクトデザイナーがいたが、スケッチなどのように手を動かすことによって、頭と緊密に連携しているのである。だからスケッチ=頭の働きといえるのである。
 従って最近 CADで図面を打ち込み、従ってスケッチが描けない学生が増えたと言うことは、頭が働かない、ひいてはクリエイティビティのない学生が増えたとも言えるだろう。
 そうした学生が社会に巣立ち一人前のデザイナーとして仕事をしても、当然新しい発想などわくはずがない。だからダメ製品しか作れなくなったという最近の日本の企業体質が伺える。その結果日本の株価だけは低迷のしたままである。
 パソコンを開発したアメリカ人は、知っていた。何をPCでやらせ、なにをPCにさせてはいけないかを。そこをきちんと使い分けていた。だから、いまだに世界ブランドが登場する。そういう差なのだと思われる。その差はもう取り返せないぐらい大きい差なのだ。
 今日は、終日学部生の卒論発表会だった。PCしか使わない最近の学生は、スケッチどころか日本語も書けないのだ。頭が全く働いていない。こちらは、もう疲れたという他ない。早々に退散した。

金沢市西茶屋街,2012年9月28日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離52mm,露出補正-0.3,f7.1,1/200,リーニュクレール
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