みことばざんまい

聖書を原典から読み解いていくことの醍醐味。この体験はまさに目からウロコ。

Coffee Break, #75

2017年04月26日 | コーヒーブレイク
エペソ6章12節
私たちの格闘は血肉に対するものではなく、
主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、
また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。


次に、「この暗やみの世界の支配者たち」に関して。

実は、検討したかったのはこの箇所だ。

原典を提示する。

τους κοσμοκρατορας του σκοτους του αιωνος τουτου

これを見ると「この暗やみの世界の支配者たち」という訳出は誤訳だと分かる。

全文直訳する。

この世の闇の支配者たち

となり、上の日本語訳と原典の間には決定的な違いがある。

定冠詞「この」の修飾語が、日本語訳だと「暗やみ」であるのに対して、原典では「「世(界)」となっている。

この違いを説明する。

まずは、「この世の闇の支配者たち」について。

この世には闇が存在し、その闇を支配している者たちがいる

と理解するのが自然だろう。

一方、「この(暗)闇の世界の支配者たち」はどうだろうか。

この世とは無関係に何処かに(暗)闇という世界が存在し、そこを支配する者たちがいる

つまり、前者においては危機的臨場感があるが、後者はそれが全く感じられない訳出となっているのだ。

つまり、砂糖まぶし的な言い回し。

次に、「 天にいるもろもろの悪霊」について。

原典を示す。

τα πνευματικα της πονηριας εν τοις επουρανιοις

直訳する。

天々の中にいる悪しき霊たち

この箇所に誤訳はない。

・・つづく。



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