みことばざんまい

聖書を原典から読み解いていくことの醍醐味。この体験はまさに目からウロコ。

Coffee Break, #151

2018年01月31日 | コーヒーブレイク
第1コリント2章5節
それは
あなたがたの持つ信仰が
人間の知恵にささえられず
神の力にささえられるためでした

と書いてある。

日本語訳しか知らない人々は非常に不幸だ。

原典に忠実に訳されている英語訳を見てみよう。


that your faith may not be
in the wisdom of men
but in the power of God
(YLT)

英語圏で暮らしている人々は聖書を上のように理解している。


あなたがたの信仰は
人のオツムの中にではなく
神のデュナミスの中にある

極めてダイナミズムに富み、ワクワクするようなことが原典には書いてあるのだ。

残念なことだが、日本語訳ではそれが削ぎ落されてしまっている。




Coffee Break, #150

2018年01月26日 | コーヒーブレイク
コロサイ1章13節
神は
私たちを暗やみの圧制から救い出して
愛する御子のご支配の中に移してくださいました


「暗やみの圧政」と書いてあるが、これではピンと来ない。

霊的領域を念頭に置いて訳出すべきだと思う。

「暗やみ」と訳された単語はσκότοςで、意味は

σκότος:
From the base of G4639; shadiness, that is, obscurity (literally or figuratively): - darkness.

つまり、「闇」。定冠詞が付いているので「あの闇」。

次に、「圧政」と訳された単語はἐξουσίαで、意味は

ἐξουσία:
From G1832 (in the sense of ability); privilege, that is, (subjectively) force, capacity, competency, freedom, or (objectively) mastery (concretely magistrate, superhuman, potentate, token of control), delegated influence: - authority, jurisdiction, liberty, power, right, strength.

つまり、「力」「権力」「勢力」。

よって、της εξουσιας του σκοτουςは

あの闇の(勢)力の

あの闇の勢力とは、言うまでもなく、この世の闇を支配する悪しき霊ども(αρχή)の勢力だ。

次に、「愛する御子のご支配」について。

この箇所の原典を見ると

την βασιλειαν του υιου της αγαπης αυτου

直訳すると

彼(神)の愛の御子の王国(または、支配)


神は
我々を
あの闇の力から救い出し
ご自身の愛の御子の支配へと
移してくださった




Coffee Break, #149

2018年01月17日 | コーヒーブレイク
マタイ12章35節
良い人は
良い倉から良い物を取り出し
悪い人は
悪い倉から悪い物を取り出すものです


「良い倉」と書いてあるが、原典には「倉」は出てこない。

英語訳を見てみる。


A good man out of the good treasure of the heart
bringeth forth good things
and an evil man out of the evil treasure
bringeth forth evil things
(KJV)

この英語訳の中のthe good treasure of the heartを「良い倉」と訳しているのだ。

そこで、異本がないかどうか調べてみた。

BibleHubのマタイ12:35を開くと

信頼性の低い写本Nestle GNT 1904やWestcott and Hort 1881(日本語訳の参考写本)では、この箇所の原文はἀγαθοῦ θησαυροῦ 、信頼性の高い写本Scrivener's Textus Receptus 1894(TR)などでは、ἀγαθοῦ θησαυροῦ τῆς καρδίαςとなっている。

θησαυροῦはθησαυρόςの属格で、意味は

θησαυρός:
From G5087; a deposit, that is, wealth (literally or figuratively): - treasure.

つまり、「蓄財」「富」「宝」

倉には宝が詰まっているというイメージがあるので、「倉」と意訳したのだろう。しかし、原義は「蓄財」「富」「宝」だ。しかも「心」という修飾語が付いている。

さて、ἀγαθοῦ θησαυροῦ τῆς καρδίαςとはどういう意味か。

直訳すると

心(καρδίας)のἀγαθοῦ(良い)宝(θησαυροῦ)
(心の良い宝)

心の良い宝とは何か。

ここでも「善行」と考えると敵の罠に嵌まるので注意せよ。


良い人は
心の良い財宝から
良い物々を
引っぱり出す
悪い人は
悪い財宝から
悪い物々を

・・

我々キリスト者にとって、心の良い宝とは主イエスキリスト以外にあり得ない。

我々はキリストの全知全能の香りを解き放つ存在なのだ。




Coffee Break, #148

2018年01月14日 | コーヒーブレイク
ヤコブ2章1節
私の兄弟たち
あなたがたは
私たちの栄光の主イエス・キリストを信じる信仰
を持っているのですから
人をえこひいきしてはいけません

いい加減いや気が差してきたが、くり返し指摘しておく。

>私たちの栄光の主イエス・キリストを信じる信仰

英語訳
the faith of our Lord Jesus Christ, the Lord of glory

原典
την πιστιν του κυριου ημων ιησου χριστου της δοξης

直訳
我らの栄光の主、イエスキリストの信仰




Coffee Break, #147

2018年01月12日 | コーヒーブレイク
エペソ4章13節
ついに
私たちがみな
信仰の一致と神の御子に関する知識の一致とに達し
完全におとなになって
キリストの満ち満ちた身たけにまで達するためです

この聖句にも重大な誤訳があるので指摘しておく。

>信仰の一致と神の御子に関する知識の一致

と書いてある。

逐語訳されている英語訳を見てみると

the unity of the faith and of the knowledge of the Son of God

とある。

直訳すると

神の御子の信仰と知識との一体化

ここで、一体化と訳した単語はἑνότηςで、意味は

ἑνότης
From G1520; oneness, that is, (figuratively) unanimity: - unity.

つまり、ひとつになること。

「一致」という意味もあるが、onenessとあるので原義ではない。

ここでは、「一体化」とした。

上の日本語訳と比較してほしい。

以前にも指摘したが、この手の日本語訳の背景には、必ずと言っていいほど、「我ワレは~に対する」という訳出パターンがある。これは「使徒信条告白」を主張・強調するためのデモではないかと思われる。

このワレワレワールド故に、「神の御子の信仰の一致」とはせずに「(ワレとワレの)信仰の一致」と訳出し、また、「神の御子の知識」ではなく、「神の御子に関する(ワレの)知識」と訳出しているのだ。

神の子の信仰と全知と一つになり

と訳出すべきではないかと思う。

つまり

主イエスのフェイス、そして主のマインドとひとつになる

その結果(εις )

unto a perfect man(完全な人)に至る



Coffee Break, #146

2018年01月12日 | コーヒーブレイク
一部引用開始

・・・

この場合、人称代名詞も名詞も属格で、重複して「香り」に係っています。

・・・

>この場合

とある。

彼は当ブログの中のこの記事しか読んでいない可能性が高い。

>人称代名詞も名詞も属格で、重複して「香り」に係っています。

とある。

つまり、彼が言っていることは

την οσμην της γνωσεως αυτουにおいて
γνωσεως(知識の)もαυτου(彼の)も
την οσμην(香り)に掛かるということ。

併記すると、「知識の香り」「彼の香り」

にもかかわらす、なぜこの箇所を「彼の知識の香り」と理解しようとしないのか。

ここに「我(ワレ)」を無理やり介入させて、「我(ワレ)が彼を知る知識の香り」とする理由は何か。

素直に「キリストの(放つ)知識の香り」と解釈すれば良いではないか。

以上で、考察を終了する。

それ以下については割愛する。

・・

ワレワレワールドをグルグル回りしながら、約束の地に到達することはできない。

スーパーナチュラルワールドをご一緒に冒険してみませんか、Oさん。



Coffee Break, #145

2018年01月12日 | コーヒーブレイク
許可が下りたので、ここに彼らの言い分を転載・公開しておく。

記載者の名前等は不明。

・・

この場合、人称代名詞も名詞も属格で、重複して「香り」に係っています。そしてギリシャ語の属格は、目的のニュアンスをもつこともあるので、「キリストを知る知識の香り」と訳したところで、「初歩的なミス」と非難するのには強い疑問を感じます。

また「香りを放っている」の主語は「神」であり、文脈上「父なる神」のことを指していること、そして同じ文節に「私たちを導いて」「私たちを通して」という手段性の言及があるので、「キリストを知る」という目的のニュアンスを訳出していたとしても、問題はないのではないかと思います。
翻訳作業に少しでも携わっている人ならば、一つ一つの単語の意味を追う逐語訳が最適な訳文とはならないことは知っていると思います。

これは全世界共通の傾向で、よくあることですが、一つの言語の文法を学び、一通り読み書きや会話ができるようになっても、それで翻訳の専門家になったことにはなりません。
そして聖書の翻訳作業は非常に高度な専門知識の集積ですので、「初歩的なミス」という批判はかなりイタイ表現ではないかと思います。

・・

次回、この論考に対する反証を掲載する。




Coffee Break, #144

2018年01月11日 | コーヒーブレイク
過去記事(→Coffee Break,#142)に対して、ご批判を頂いた。

現在ご批判を頂いた方のご意見を、当サイトで公開してよいかどうかご了解を得ている最中だ。

命に係わることなので、公に議論した方が良いだろうと思う。

・・

日本語訳聖書の問題点については、これまで数限りなく指摘してきた。

彼らにはKJV訳などの英語訳をよく読めと言いたい。

和訳と英語訳を比較すれば、議論の余地はないと確信している。

英語訳がひどすぎるというのであれば、もはや話し合う術はない。

小生の聖書原典回帰について詳細に語るつもりはないが、キリスト教徒の和訳聖書の盲信ぶりに呆れてしまうような事件に度々遭遇した。

それもあって、キ業界からエクソダスしたのが15年ほど前のこと。

あのタコツボには二度と戻りたくないと思う。

以上、批判者のご了解を頂き次第、小生の反論記事を合わせて掲載したいと思う。




Coffee Break, #143

2018年01月09日 | コーヒーブレイク
ルカ22章31節
シモン、シモン
見なさい
サタンが
あなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って
聞き届けられました

どうも違和感があるので、原典に当たってみた。

違和感のある個所は、最後の「聞き届けられました」だ。

まずは、英語訳。


And the Lord said
Simon, Simon
behold
Satan hath desired to have you
that he may sift you as wheat
(KJV)

上の英語訳を参考にしながら、原典を直訳する。


主は言った
シモン、シモン
見よ
サタンが要求した
あなたがたを
麦のようにふるいにかけることを

原典にも、英語訳にも、「聞き届けられました」とは書いていない。





Coffee Break, #142

2018年01月07日 | コーヒーブレイク
第2コリント2章14節
しかし
神に感謝します
神はいつでも
私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え
至る所で私たちを通して
キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます


>キリストを知る知識のかおり

と書いてある。

原典を確認すると

την οσμην της γνωσεως αυτου

直訳すると

彼の知識のかおり

これを、上の日本語訳では「キリストを知る知識のかおり」と訳出しているのだ。

αυτουは所有格であり対格ではない。極めて初歩的な文法ミスだ。

της γνωσεως αυτουとは

彼(キリスト)の知識(知、知力、全知)

我々など足元にも及ばない、キリストの知識・全知の香りが我々から放たれると書いてある。

第2コリント2:14c
キリストは解き放っている
ご自身の知(識)の香りを
我々を通して
あらゆる所において