小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

工藤公康の采配

2015-10-30 22:05:08 | 武道・スポーツ
日本シリーズ、三戦目(だったか)で、ヤクルトの山田哲人に、三打席、連続ホームランを、打たれた後、ソフトバンクの投手に何か、アドバイスしましまたか、と、聞かれて、工藤公康は、

「していない。投手の方が、肌で、感じているから、余計なことは、言わないで、投手の自主性を大切にした。しっかりやれ、とだけ、言っただけ」

と言ったらしい。

これを聞いて、レベルの極めて低い、プロ野球にも、多少は、能力のある人間も、いるんだな、と、多少、見直した。

大体、上達のプロセスにおいても、そうだし、ましてや、本番では。

監督や、コーチは、余計なことは、言わない方が、いいのである。

自分が、どんな調子にあるのか、どんな精神状態で、疲れは、どのくらいで、どの変化球の調子が良く、どの変化球の調子が悪く、コントロールは、どのくらいの調子とか、そういうことを、一番、よく知っているのは、選手なのである。

(病気にしても、病気がどんな状態なのかを、一番、よく知っているのは、他人である医者ではなく、患者本人なのである)

大体、人間とは、つい、他人に、どうしても、あれこれ、喋ってしまうものなのである。

他人を、自分の考えで、いじくりたくなるものなのである。

「策士、策におぼれる」で、大体、そうすると、失敗するケースの方が、多いのである。

だからといって、監督やコーチは、不要とまでは、言わない。

高校野球あたりのレベルでは。

見ることに集中している、監督の方が、敵のピッチャーのクセ、状態、配球の作戦、を選手より、冷静に見抜けるから、そして、自分のチームのバッターが、敵のピッチャーの作戦の術中に、まんまと、はまってしまって、いる場合も、あるから、「ストレートにしぼれ」とか、「初球から、積極的に打つのではなく、一球目は、見送って、一球目がボールだったら、二球目を打て」とか、アドバイスして、それが奏功する場合もあるのである。


こういうことを書くと。「お前は傲慢だ」と言われるだろうが、そんなのは、どうでもいい。

トライアウトされた選手は、就職先さがしで、少年野球からプロ野球までの、監督や、コーチや、解説者に、何とかなりたいと思っているのに、簡単には、なれないのである。

それは、なぜ、古田敦也氏が、野球解説者として、ひっぱりだこ、で、高収入を得ているか、で、わかるだろう。

つまり、古田敦也氏は、たえず、研究し、自分の頭で考えているからなのである。

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