僕の戦争的な体験は、梶原一騎の逮捕である。
そんなこと言っても、信じてもらえない気もするが、僕にとっては、紛れもない、事実なのである。僕にとって、梶原一騎の、漫画の多くの主人公は、僕に、とって、「神」そのものだった。特に、好きなのは、「愛と誠」の、太賀誠。「夕やけ番長」の赤城忠治。「カラテ地獄変」の大東徹源。「巨人の星」の星飛雄馬。「青春山脈」の火野兄弟。「英雄失格」のカール・シュミット。「明日のジョー」の矢吹丈。などか,僕の、「神」だった。
彼らの、根性、度胸、不屈の精神、死をも恐れぬ勇気、などの精神が、僕の、「神」だった。
それらの精神は、僕が持っているものではなく、持っていないものだった。だから、僕が、生きる上で、それらの精神は、絶対に、なくてはならないものだった。それらは、僕の座右の書だった。当然、そういう作品を書く、原作者の梶原一騎も、そういう立派な精神を持っている、優れた人間だと尊敬した。作品の主人公の精神と、作者の精神は、同じものであるはずだ、と思っていた。しかし、梶原一騎が、編集者を殴って、逮捕された時、僕は、ガンを告知されたようなショックを受けた。その後、梶原一騎が、アントニオ猪木を監禁したりしたことや、暴力団との、つながりがあること、などを知った。僕の中で、「神」であった、梶原一騎が、ガラガラと崩れていった。当然。主人公の精神=作者の精神、と思っていたので、僕は、梶原一騎の作品を、愛せなくなってしまった。自分の崇拝する「神」が、いなくなってしまう。こんなことが、宗教者に起こったら、信者は、発狂してしまうだろう。
もちろん、僕も、精神に変調をきたし出した。しかし、僕にとって。根性、度胸、不屈の精神、死をも恐れぬ勇気、などの、梶原の精神は、僕になくてはならないものだった。
なので、僕は、梶原一騎を捨てて、神風特攻隊、など、別のものに、それを求めた。
しかし、精神の変調は、おさまらない。梶原一騎の漫画を捨てるわけにも、いかない。しかし、もう、読むことは、出来なくなってしまった。それで、それらは、戸棚の上にしまった。
しかし、僕は、それ以前にも、非常に苦しい経験をして、それを乗り越えてきたことがあるので、何とか、心を落ち着かせようとした。僕は、時間が経って、不安定な気持が、いつか、落ち着いてくれることを、待つことにした。過去の苦しい経験でも、待つことによって、時間が解決してくれる経験をしたことがあるからだ。
その作戦は成功した。待って、そして、梶原一騎という人間が、わかってくるにつれ、僕は、梶原一騎という人間を、そして、梶原一騎の作品の主人公たちを、再び、愛することが出来るようになったのだ。しかし、それには、二年くらいの歳月を要した。梶原一騎という、作者の精神は、本物なのだ。と、わかったのである。ただ、大人でありながら、子供のような感性をもっているのだと、わかったのである。それが、わかってからは、僕は、梶原一騎、および、梶原一騎の作品の主人公たちを、一層、愛することが出来るようになった。
そんなこと言っても、信じてもらえない気もするが、僕にとっては、紛れもない、事実なのである。僕にとって、梶原一騎の、漫画の多くの主人公は、僕に、とって、「神」そのものだった。特に、好きなのは、「愛と誠」の、太賀誠。「夕やけ番長」の赤城忠治。「カラテ地獄変」の大東徹源。「巨人の星」の星飛雄馬。「青春山脈」の火野兄弟。「英雄失格」のカール・シュミット。「明日のジョー」の矢吹丈。などか,僕の、「神」だった。
彼らの、根性、度胸、不屈の精神、死をも恐れぬ勇気、などの精神が、僕の、「神」だった。
それらの精神は、僕が持っているものではなく、持っていないものだった。だから、僕が、生きる上で、それらの精神は、絶対に、なくてはならないものだった。それらは、僕の座右の書だった。当然、そういう作品を書く、原作者の梶原一騎も、そういう立派な精神を持っている、優れた人間だと尊敬した。作品の主人公の精神と、作者の精神は、同じものであるはずだ、と思っていた。しかし、梶原一騎が、編集者を殴って、逮捕された時、僕は、ガンを告知されたようなショックを受けた。その後、梶原一騎が、アントニオ猪木を監禁したりしたことや、暴力団との、つながりがあること、などを知った。僕の中で、「神」であった、梶原一騎が、ガラガラと崩れていった。当然。主人公の精神=作者の精神、と思っていたので、僕は、梶原一騎の作品を、愛せなくなってしまった。自分の崇拝する「神」が、いなくなってしまう。こんなことが、宗教者に起こったら、信者は、発狂してしまうだろう。
もちろん、僕も、精神に変調をきたし出した。しかし、僕にとって。根性、度胸、不屈の精神、死をも恐れぬ勇気、などの、梶原の精神は、僕になくてはならないものだった。
なので、僕は、梶原一騎を捨てて、神風特攻隊、など、別のものに、それを求めた。
しかし、精神の変調は、おさまらない。梶原一騎の漫画を捨てるわけにも、いかない。しかし、もう、読むことは、出来なくなってしまった。それで、それらは、戸棚の上にしまった。
しかし、僕は、それ以前にも、非常に苦しい経験をして、それを乗り越えてきたことがあるので、何とか、心を落ち着かせようとした。僕は、時間が経って、不安定な気持が、いつか、落ち着いてくれることを、待つことにした。過去の苦しい経験でも、待つことによって、時間が解決してくれる経験をしたことがあるからだ。
その作戦は成功した。待って、そして、梶原一騎という人間が、わかってくるにつれ、僕は、梶原一騎という人間を、そして、梶原一騎の作品の主人公たちを、再び、愛することが出来るようになったのだ。しかし、それには、二年くらいの歳月を要した。梶原一騎という、作者の精神は、本物なのだ。と、わかったのである。ただ、大人でありながら、子供のような感性をもっているのだと、わかったのである。それが、わかってからは、僕は、梶原一騎、および、梶原一騎の作品の主人公たちを、一層、愛することが出来るようになった。