一部の名医。
さて、医学生は大学を出た時から、つまり社会人になった時から、「先生。先生」と呼ばれる。そして大学の医局に入る。医局に入ると、徒弟的に、医局のベテラン医者から知識や技術を教えられる。そして自分の専門科でのみ、ぐんぐん実力がついていく。二年も研修すれば、ほとんど一人前である。そして、病院に就職して、さらに経験が、どんどん蓄積され、実力がついていく。そして博士号をとり、医学博士となる。実力がどんどんつくから、やりがいも出てくる。「先生。ありがとうございました」と言われつづける。しかし、この心地良さが曲者である。この心地良さは一度、味わったらやめられない麻薬の心地良さにも近い。そして光陰矢の如しで、年月がどんどん過ぎていく。かくして専門莫迦の名医となる。もう学ぶ事がなくなるまでになると。人々に名医、名医とおだてられる。医者が天狗になる。そして、十年一日の同じ事の繰り返しの年月がどんどん過ぎていく。歳をとって医者をやめる。やめて、はじめて、自分が自分の専門科の知識以外には何にも自分が持ってないことに気づく。儲けた金で、立派な家と、老いた妻と成人した子供がいるだけである。かくして老後は、サラリーマンと変わらぬ枯れ落ち葉となっている自分に気づく。しかし、その時にはもう遅い。かくしてこの世に何も残らぬ一人の老人が死ぬ。もちろん、頭を使わない人生だったからバカになっていて、認知症になる。そして認知症だから精神病院に入れられる。
さて、医学生は大学を出た時から、つまり社会人になった時から、「先生。先生」と呼ばれる。そして大学の医局に入る。医局に入ると、徒弟的に、医局のベテラン医者から知識や技術を教えられる。そして自分の専門科でのみ、ぐんぐん実力がついていく。二年も研修すれば、ほとんど一人前である。そして、病院に就職して、さらに経験が、どんどん蓄積され、実力がついていく。そして博士号をとり、医学博士となる。実力がどんどんつくから、やりがいも出てくる。「先生。ありがとうございました」と言われつづける。しかし、この心地良さが曲者である。この心地良さは一度、味わったらやめられない麻薬の心地良さにも近い。そして光陰矢の如しで、年月がどんどん過ぎていく。かくして専門莫迦の名医となる。もう学ぶ事がなくなるまでになると。人々に名医、名医とおだてられる。医者が天狗になる。そして、十年一日の同じ事の繰り返しの年月がどんどん過ぎていく。歳をとって医者をやめる。やめて、はじめて、自分が自分の専門科の知識以外には何にも自分が持ってないことに気づく。儲けた金で、立派な家と、老いた妻と成人した子供がいるだけである。かくして老後は、サラリーマンと変わらぬ枯れ落ち葉となっている自分に気づく。しかし、その時にはもう遅い。かくしてこの世に何も残らぬ一人の老人が死ぬ。もちろん、頭を使わない人生だったからバカになっていて、認知症になる。そして認知症だから精神病院に入れられる。