リオのカーニバルに参加する子供たちのチームを紹介した、ドキュメンタリ-放送を見た。指導者の大人は、「少しぐらい間違ってもいい。君たちはファミリーなんだ」と繰り返し強調する。
打楽器だけの、それも壊れたのを修理しての粗末なものだが、子供たちの笑顔と身体から湧き上がってくるサンバのリズムが素晴らしい。沿道の大人達が踊りだし、カーニバルが次第に盛り上がってくる。
スペイン系移民や、アフリカから連れて来られた奴隷たちの子孫のエネルギーが爆発する。子供から老人まで、たぶん、犬や猫や馬や鳥達や魚たちまで、ありとあらゆる生き物たちが踊りだし、ブラジルが踊りだすのが、あのお祭りの素晴らしさだ。
それを見て、私の村の、あるおばあちゃんの名人芸『こっから舞』を思い出した。私はそれを3度拝見したことがあるが、今、80歳近いから、もう永遠に見ることは出来ないと思う。
1度目は、ある宴会で。噂には聞いていたが、頭の中が真っ白になった。
2度目は、下北半島に研修旅行で行った時。旅館の仲居さんたちも見物に来て、凄いわね~と、感動していた。
3度目は、お寺の新年会である。男性は住職と役員さんだけの数名で、あとは奥さんたちとおばあちゃんたちである。それに成人の娘さんが一人、健康祈願で参加していた。
カセットテープからお囃子が流れ、歓声と悲鳴が混ざり、本堂は騒然となる。
出たー!・・・ほっかぶりをし、どじょうすくいの格好と想像してください。
下半身には、ふんどしの様な布を下げている。口上にあわせて腰を振り踊り出す。時折ふんどしをめくると、ななんと?そこにはリアルすぎる「一物」が覗く。そのつど女たちの奇声が本堂を揺るがす。総代の一人としては、お寺の修復費の心配をしてしまうが、住職までが手を叩いて喜んでいる。
数日後、それを拝見してしまった、二十歳の娘さんにその時の感想を聞いたら「みんなが元気になって、お正月らしくて良かったよ」と返ってきた。
頼もしい限りの娘さんである。・・・立派な成人である!
青森県に三内丸山と言う縄文の遺跡がある。
巨大な集落跡が発見されたが、雪が降る前に保存のために埋め戻しを終えて、発掘に携わった人たち(作業員はほとんど主婦たち)の、納会がテレビで放映されていた。
夜になり酒も入っていたせいか、焚き火を囲んで主婦たちが踊りだしたのを見て、あっと!声が出た。
『こっから舞』の腰踊りなのである。
縄文時代は出産が生死を分ける難事である。土偶などは、死産した母子たちの再生を願い埋葬したものである。発掘に携わった主婦たちも、きっと縄文の母子たちの気持に共感して踊りだしたのだろう。胸にこみ上げるものを覚えた。
『こっから舞』とは、臍から下の踊りだとおばあちゃんから聞いた。
80歳近い年齢だから、ここではおばあちゃんと書いたが、実は今でもスク-ターに乗っている、元気なかあさんである。
周囲では、「下品な踊りだ」と揶揄する人もいるが、縄文舞踊としての価値はある。
リオで踊ったって、アフリカの大地で踊ったって、大地を揺るがすほどの喝采を浴びると僕は評価している。
母さんがいつかあの世に行ったら、お寺参りの席で、僕は母さんの芸術性を褒め称える挨拶をしようと思っている。
打楽器だけの、それも壊れたのを修理しての粗末なものだが、子供たちの笑顔と身体から湧き上がってくるサンバのリズムが素晴らしい。沿道の大人達が踊りだし、カーニバルが次第に盛り上がってくる。
スペイン系移民や、アフリカから連れて来られた奴隷たちの子孫のエネルギーが爆発する。子供から老人まで、たぶん、犬や猫や馬や鳥達や魚たちまで、ありとあらゆる生き物たちが踊りだし、ブラジルが踊りだすのが、あのお祭りの素晴らしさだ。
それを見て、私の村の、あるおばあちゃんの名人芸『こっから舞』を思い出した。私はそれを3度拝見したことがあるが、今、80歳近いから、もう永遠に見ることは出来ないと思う。
1度目は、ある宴会で。噂には聞いていたが、頭の中が真っ白になった。
2度目は、下北半島に研修旅行で行った時。旅館の仲居さんたちも見物に来て、凄いわね~と、感動していた。
3度目は、お寺の新年会である。男性は住職と役員さんだけの数名で、あとは奥さんたちとおばあちゃんたちである。それに成人の娘さんが一人、健康祈願で参加していた。
カセットテープからお囃子が流れ、歓声と悲鳴が混ざり、本堂は騒然となる。
出たー!・・・ほっかぶりをし、どじょうすくいの格好と想像してください。
下半身には、ふんどしの様な布を下げている。口上にあわせて腰を振り踊り出す。時折ふんどしをめくると、ななんと?そこにはリアルすぎる「一物」が覗く。そのつど女たちの奇声が本堂を揺るがす。総代の一人としては、お寺の修復費の心配をしてしまうが、住職までが手を叩いて喜んでいる。
数日後、それを拝見してしまった、二十歳の娘さんにその時の感想を聞いたら「みんなが元気になって、お正月らしくて良かったよ」と返ってきた。
頼もしい限りの娘さんである。・・・立派な成人である!
青森県に三内丸山と言う縄文の遺跡がある。
巨大な集落跡が発見されたが、雪が降る前に保存のために埋め戻しを終えて、発掘に携わった人たち(作業員はほとんど主婦たち)の、納会がテレビで放映されていた。
夜になり酒も入っていたせいか、焚き火を囲んで主婦たちが踊りだしたのを見て、あっと!声が出た。
『こっから舞』の腰踊りなのである。
縄文時代は出産が生死を分ける難事である。土偶などは、死産した母子たちの再生を願い埋葬したものである。発掘に携わった主婦たちも、きっと縄文の母子たちの気持に共感して踊りだしたのだろう。胸にこみ上げるものを覚えた。
『こっから舞』とは、臍から下の踊りだとおばあちゃんから聞いた。
80歳近い年齢だから、ここではおばあちゃんと書いたが、実は今でもスク-ターに乗っている、元気なかあさんである。
周囲では、「下品な踊りだ」と揶揄する人もいるが、縄文舞踊としての価値はある。
リオで踊ったって、アフリカの大地で踊ったって、大地を揺るがすほどの喝采を浴びると僕は評価している。
母さんがいつかあの世に行ったら、お寺参りの席で、僕は母さんの芸術性を褒め称える挨拶をしようと思っている。