函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

津軽海峡のマグロの一本釣り

2007年06月09日 17時15分49秒 | えいこう語る
テレビで、下北半島の大間の漁師3人が戦うマグロ漁の再放送を見た。3人とも大ベテランであるが、10日間で23キロの小さいのが1匹である。かなり飛び跳ねてはいるが絶対数が少なくなっているのと、鮪が食べる鰯やイカ等の魚が少なくなっているのも原因らしい。
僕が小学生だった昭和30年代は、鰯の大群が押し寄せて海全体が鰯の生簀のような状態だった。秋の終わりから冬にかけて、暗くなってから海岸に押し寄せてきた。烏賊も海岸に寄ってきた手づかみにした。鰤や鮪に追いかけられて浜に打ち上げられるのだと大人から聞いた。
鴎が沖で群れて騒いでいると、子供たちでも今夜は鰯が寄ると話していた。今では鰯が網にかかるのが稀なくらい捕れなくなった。昆布やホタテの養殖の施設が海を占領した為とも言われているが、温暖化で水温が上昇しているので、近海からいなくなったのが原因らしい。鮪釣りの漁場は、大間町の高台から見えるところである。しかし、大間町には日本最大の原子力発電所が建設されようとしている。高熱を発する原子炉を海水で冷やし、その温排水を海中に排水する時の量と温度が問題である。
『毎秒91トン・温度が7度上昇』だそうである。プランクトンが死滅するのではないだろうか。津軽海峡の鮪が市場で高値で取引されているが、決して喜んでばかり入れない現状があることも覚えて欲しいと思う。
3人の漁師の中には、大間の漁協組合長もいたのが気にかかる。豪快な戦いに挑む大間の漁師もいいが、海の環境を守る心の優しい漁師がいて、大間の鮪が日本一と言うのが一番かっこいいような気がする。
高価過ぎて我々庶民の口には入らないこの鮪を、1度だけ食べた事がある。幅20センチ厚さ5センチほどの赤身の生である。酢飯を作り握ってみた。醤油を少しつけると、醤油皿一杯に、こまやかな鮪の脂が浮かんだ。「脂まで上品だなー」と感激し口にほおばる。とろけるような味が口中に広がる。歯ざわり、舌ざわりからして、スーパーの鮪とは桁違いなのである。
再三一人の女優を引き合いにしては失礼だと思うが、グレースケリーのような鮪である。ため息が出てしまう美味さなのだ。だからなおさら気になる原子力発電所の存在である。
周辺町村にも巨額な補助金がおりているし、漁業組合もかなりの保障費を受け取っているはずである。海の男の心意気、どこか違っているのではないかと、テレビに向かって叫んでいた。
もし原発に事故があってどこかのテレビ局で『原発事故と巨大鮪の大間』なんて番組、ぜったい作らないよねー・・・初夏だと言うのに寒い話になって申し訳ありません。