函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

春日狂騒

2023年03月07日 12時08分33秒 | えいこう語る

▼あれほど積もっていた雪が、数日春の日差しを浴び、地面も顔を出し、無数の福寿草が咲き乱れている。

▼この雪解け水が海に流れ込み、昆布の育成を促進する。水平線の彼方からも、ちょっぴりあたたかな、春の匂いがする風が流れ込んでいる。

▼春は確実に故郷にやってきているのに、心が晴れない。それはキシダ政権が安倍晋三政権より、確実に『憲法改正』への道を、突き進んでいるからだ。

▼「敵基地攻撃能力」や「防衛費の倍増」は、まるで“悪魔の囁き”ではないか。さらに「放送法規制」などというのは「大本営発表」の前触れのようだ。

▼春の近づきと共に、軍靴の足跡も聞こえる、2023年の春だ。ふと、中原中也の「春日狂想」という詩を思い出した。

▼「愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません」で始まる詩だ。たぶん中也の長男が夭折した時の詩だろう。

▼それがロシアのウクライナ侵攻で、犠牲となった多くの民の心に重なるからだ。テレビに映された男の子が、泣きながら呆然として道を歩く光景を思い出す。

▼夏が来ればウクライナの大地一面に、ヒマワリが咲く。第二次世界大戦で死んだ多数の兵士を土に埋め、その上にヒマワリの種を植えたということを聞いた。

▼そんなウクライナの地の光景が、庭の福寿草に重なって見えた。中也の「春日狂想」の詩の終わりには、こうある。

【では皆さん 喜び過ぎず悲しみ過ぎず テムポ正しく、握手をしませう。つまり、我らに欠けているものは、実直なんぞと心得まして。ハイ、ではみなさん、ハイ、御一緒に・・・ テンポ正しく握手をしませう】。

▼という虚無感溢れる言葉が続く。中也はやるせない悲しみを、このような表現でしか、表すことができなかったのだろう。

▼私は悲しみに暮れるウクライナ国民に、むしろ中也の「修羅街挽歌」を贈りたい。

「修羅街挽歌」
忌まわしいおもひ出よ
去れ!そしてむかしの
憐みの感情と
ゆたかな心よ返って来い
今日は日曜日
縁側には日があたる
もういっぺん母親に連れられて
祭りの日には風船玉が買ってもらひたい
空は青くすべてのものは
まぶしくかがやかしかった
忌まわしいおもひでよ
去れ!去れ去れ!

▼侵略前のヒマワリが咲き乱れる、ウクライナに戻ってほしいものだ。戦争ほど虚しいものはないはずだ。