▼ 市議30の定数に対し、立候補者33の函館市議選。無競争といわれたが、ようやく対抗馬が現れたという感じの市長選。市長選にあっては函館出身でもなく、知名度ゼロに近い新人が戦いを挑む。それでなくとも投票率の低さが毎回問題になる函館市、来年の新幹線開業への市民の期待感と同様、盛り上がりに欠ける。
▼ ここに来て、人口が27万人を割ったという報道と、青函トンネル内での列車の発火事故が発生したことなどが、投票率に影響しないかと心配する。ここ数年の函館市を振り返ってみても、自治体初の大間原発建設差止め訴訟が唯一の市民の関心事で、他にこれといったものが浮かんでこないというのが、市民の一般的な感情だろう。
▼ 国に対する提訴は「勝てはしないだろう」というのが、高齢化が進行する市民の一般的な思いかもしれない。新幹線の新駅周辺の活性化がまったく低調というのも、心が晴れない理由のひとつだ。観光ばかりではなく水産都市としての顔も、ここ数年、漁獲高が低迷しているのが、投票率に影響しないかと心配だ。
▼ 選挙を盛り上げるため、何かよい智恵はないかと考えてみた。今人気の「ふるさと納税」だ。好きな地域を応援するというのが本来の趣旨だったが、今や「地域特産品お買い得クーポン券」のような繁盛ぶりだ。これにあやかってはどうだろうか。
▼ 投票に行った人には抽選で「お米券」や「宝くじ券」が当たるというものだ。自治宝くじで当選者がでて来ない時は、そこの自治体に引取りの無い当選金が支給されるというということを聞いている。そのお金を、自治を活性化させるため「投票率促進費用」として充当してはいかがなものだろうかという提案だ。
▼ 「お米券が当たる」「宝くじ券ももらえる」。なんだか楽しい選挙になりはしないだろうか。選挙民が当選し、その人が投票した候補者が落選するなんて、そんなハプニングがあるかもしれない選挙だ。自分の推薦する候補が、いつも落ちるという人もいると思う。でも自分が当選するかもしれない可能性があればければ、投票場に足が向きそうな気がする。
▼要は、自分が託す候補者がいなくて、人に頼まれてしぶしぶ行くという選挙も多い。仕方が無く投票場に行くという選挙が、投票率低下の最大原因のような気がする。「投票者も当選するかも知れない選挙」。こんな選挙があってもいいと思う、低調ムード漂う毎回の選挙だ。