函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

理研とJA全中

2015年04月11日 11時21分48秒 | えいこう語る

▼ 理研(理化学研究所)の前身といえば、戦時中に原子爆弾を研究していた所だ。戦後はノーベル賞の受賞者を輩出している。STAP細胞事件の時の野依理事長もノーベル賞受賞者の一人だ。日本の最高頭脳者が集まる研究所といっても過言ではない。つまり、日本がいかに優秀かを、世界に発信し続ける存在なのだ。国家の威信そのものを背負っているという自負が、その研究所のプライドであろう。理研そのものが“国体”のような存在になっているのだろう。絶対壊せない、壊してはならない、国家を構成する重要な要素なのだ。

▼ そんな厳粛で神聖な場所で、STAP細胞事件が発生した。結果は「小保方研究員のウソ」という、なんとも割り切れぬ内容だ。なぜこのような単純なウソが、国家最高頭脳集団内で発生したのかということが、解明されていない。取調べの最中に、小保方さんの辞表を認めたため、解明は事実上打ち切りとなった。さらに最高責任者の野依理事長が辞意を表明した。責任を取っての辞意ではないと、ノーベル賞受賞者としてのプライドを保ちながらも、関係者の自殺まで出した事件は,どうやら化学反応を起させ、消滅させてしまったようだ。

▼ 我が国の農業に大きな影響を与えるTPPや農協改革は、政府の圧力に押し切られた感がある、JA 全中(全国農業協同組合中央会)の万歳会長が辞任を表明した。自民党の集票マシンといわれたJAも、もはや集票への魅力も薄れてきたのだろう。政府による解体が始まり、さらに政府の直轄にさせられる存在になりそうな気がする。沖縄の基地問題と同様、政府に抵抗を示すものは、政府の強力な指導で、支配下に置こうとするように見えてならない。

▼ 万歳会長のみならず、事務方トップも辞任したというから、政府への抵抗を示したものだという見方が正しいだろう。JA自体も体質が古いといわれてきた。TPPはその古い体質に風穴を開ける、黒船の襲来のような存在だったのだろう。それを契機に、政府はJAの改革に走ったのだろう。今まで一心同体でやってきた政府とJA。それなのに、JAを軽視する政府の強硬な改革「それはないよ、アベさん」という、万歳会長の涙ではなかったかと、胸中を察する。

▼ 「理研とJA全中」。このトップの辞任で感じたものは、理研は国の威信と自らのプライドを守るため、理事長自らA級戦犯となり、真実を曖昧にして幕引きを図ったような気がする。JA全中は、国策に従い政府を擁護してきた組織が、国に抵抗する状態が見えてきたため、邪魔者扱いにされ組織の改革を迫られた。その陰には多くの農民の血と汗が流され、涙を流して来た日本農業の歴史があるのだ。一矢報いたいというのが、万歳会長の無言の辞任劇のように思う。

▼ 「♪義理がすたればこの世は闇だ」という「人生劇場」という歌があるが、野依氏は涙も見せず淡々と「日本理研劇場」の意味不明の演技力で、存続を確保した。男・万歳会長は日本農業劇場」という、古い映画の終わりを演じた。そんな、二本立ての場面を、私は観客席でそんな想像をめぐらせながら観ていた。

▼ 国策に反するものへの、アベ政権の圧力劇場は、今後も続くだろう。「沖縄基地編」「大間原発編」。「国対国民の仁義なき戦い」は、今後ますます目を離せないものになるに違いない。