夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

幾山河越えさりゆかば

2015-11-09 23:49:55 | 短歌
先日、若山牧水顕彰全国大会に参加する前に、新見市哲西町にある牧水二本松公園を訪れた。
ここには、牧水の代表歌として有名な、

  幾山河越えさりゆかば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく

の歌碑があるので、一度行きたいと思っていたのだ。(妻・喜志子、長男・旅人の歌碑もある。)


牧水がこの地を訪れたのは、明治40年夏。みなかみや渓谷が好きな牧水に、友人の有本芳水が、岡山の高梁・新見あたりは渓谷が美しいから、備中・備後を歩いてみてはどうかと勧めたらしい。(詳しくはこちらの記事を参照。

岡山・広島県境の二本松峠で牧水は旅館・熊谷(くまたに)屋に泊まり、その際、有本芳水に絵葉書を書いて送った中にあったのが、「幾山河」の歌だった、ということらしい。


牧水二本松公園には、再建された熊谷屋があった。
名歌の生まれた機縁になったというだけで、すでになくなっていた旅館が復元されてしまうのだから、牧水人気というのはすごいものだと思った。