テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

… 一人と、一羽 …

2019-03-28 22:09:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わほゥ! こんざつゥしてないィ??」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!週末は混むかも!)

 こんにちは、ネーさです。
 先日ご紹介しました福島県立美術館の
 『東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展』(~5/6)ですが、
 まだ始まったばかりとあってか、
 そう混雑していないようですよ。
 (ただ駐車場は午前の早い時刻にすぐ満杯になってしまうとか…)
 若冲さんの作品を間近に鑑賞した方々は、
 観光をかねて、ぜひ!!
 さあ、ではここからは読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
       ―― モーツァルトのムクドリ ――



 著者はライアンダ・リン・ハウプトさん、
 原著は2017年に、画像の日本語版は2018年9月に発行されました。
 英語原題は『Mozart's Starling』、
 『天才を支えたさえずり』と日本語副題が付されています。

「むくどりッてェ、あのォ?」
「ぐるるがるぐるるがるる!」(←訳:大群で飛ぶワルいヤツら!)

 そうね……
 野鳥のムクドリに関しては、
 “良いイメージなし”が世界共通認識なのよね……。

 著者・ハウプトさんも、
 御本冒頭の『前奏曲』で、
 《アメリカ一嫌われている鳥》だと認め、
 鳥類学者さんたちにも
 《愛すべき鳥ではない》と、
 そっぽを向かれちゃってる始末……。

「ところがァ、どすこォ~いィ!」
「がっるるぐるぅ!」(←訳:どっこいでしょ!)

 そう、ところが、なのでした。

 モーツァルトさんは違ったのです。
 
 ペットとして、ムクドリを可愛がっていた――
 これは、伝説や伝聞ではなくて、全き事実。

「あのォうるさいィとりをォ??」
「ぐるるる??」(←訳:可愛がる??)

 ええ、日時もはっきり判っているんですよ。

 1784年5月27日、
 ウィーンのグラーペン通り。
 或る旋律を耳にしたモーツァルトさんは
 その音を辿り、
 小鳥店の扉をくぐって、
 籠に入れられた一羽のムクドリに出会ったのでした。

   “Das war schon!”(それは美しかった!)

 と、モーツァルトさんは支出簿に記して、
 34クロイツァーと引き換えに、
 ムクドリを自宅に連れ帰ります。

「ものずきィ~!」
「がるるるぐっるぅるるる~…」(←訳:ホントに飼っちゃうんだ~…)

 それは、気まぐれ、だったのでしょうか。
 好奇心か、ヒマつぶしだったのでしょうか。

 著者・ハウプトさんは、
 単なる気まぐれやヒマつぶしだったとは考えません。

 ムクドリがモーツァルトのもとで過ごした時期は、
 モーツァルトさんの人生が最も充実した期間と
 重なっています。

  8つのピアノ協奏曲、3つの交響曲、
  『フィガロの結婚』を著したときも、
  ハイドンさんを招待して
  客間で四重奏曲を初演したときも、
  モーツァルト家に男児ふたりが誕生したときも、
  そのうちのひとりが幼くして世を去ったときも、
  ずっとずっと、
  ムクドリはモーツァルトさんのかたわらに在った……

 そこに何の意味もないさ、などと誰が言えるでしょう。

「ひとりとォ、いちわのォ?」
「ぐるがる?」(←訳:音の旅路?)

 ムクドリとの生活はどんなものなのか?

 実感実証すべく、
 ハウプトさんはムクドリの仔を飼い始めます。
 手元で日々育ってゆくムクドリ、
 カーメンと名付けたムクドリを見守りながら、
 ハウプトさんの眼に
 より鮮やかに、より痛切に、
 明らかになってゆくモーツァルトさんの貌、
 その生涯とは。

「ゆだんッしてるとォ~…」
「がるる……」(←訳:つい涙……)

 もの哀しくも力強い、
 ハウプトさん入魂の『終楽章』を読了すれば、
 ムクドリへの見方・感じ方が
 必ずや一変すること必至のノンフィクション作品は
 歴史好きさん&音楽好きさんに、
 いえ、全活字マニアさんにおすすめです。

 一羽のムクドリに想いを託し、
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 
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