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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 白と黒の、高い門 ~

2019-07-22 23:19:41 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 いつのまにィかァ、なつやすみィ~??」
「がるる!ぐるがるぐるる~!」(←訳:虎です!まだ梅雨なのに~!)

 こんにちは、ネーさです。
 7月後半になってチビっ子たちも夏休み突入!のはずが、
 今日の多摩地域は空気ひんやり、
 濃霧で景色はぼんやり……
 ならば、本日の読書タイムは
 こんなお天気によく似合いそうな一冊を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
        ―― 黒澤明の羅生門 ――



 著者はポール・アンドラさん、原著は2016年に、
 画像の日本語版は2019年5月に発行されました。
 英語原題は『KOROSAWA'S RASHOMON』、
 『フィルムに籠めた告白と鎮魂』と日本語副題が付されています。

「めいさくゥでスねッ!」
「ぐるるるるがるるぐるる!」(←訳:日本映画の大傑作だよう!)

 映画『羅生門』――
 言うまでもありません、
 黒澤明さんの代表作のひとつ、ですね。
 1951年、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、
 黒澤さんの令名は一気に世界へと広がり、
 また、日本映画が国際的に注目される契機となった作品です。

 『羅生門(RASHOMON)』は、
 英語読みだと『らしょうもん』、
 イタリア語読みだと『らじょうもん』となって、
 この響きがとてもミステリアスで魅了されたのだと、
 フェデリコ・フェリーニ監督が
 かつてインタビューで述べていましたが。

 ここにも、
 『RASHOMON』に魅せられた映画人さんが、ひとり。

「めんみつゥにィ、ぶんせきィ~!」
「がるぐるるる!」(←訳:徹底してます!)

 現在はコロンビア大学の教授である著者・アンドラさんの専攻は、
 日本文学、映画、批評、アジアの人文科学。
 
 この御本は、
 『羅生門』をテーマにしての映画研究本……
 とは、ちょっと違って。

 映画『羅生門』を入り口に、
 黒澤明さんを論ずる《クロサワ論》
 というべきでしょうか。

「かぎにィなるゥのはァ、しょうねんじだいィ?」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:お兄さんがいたんだ!)

 著者・アンドラさんは
 黒澤さんの『蝦蟇の油――自伝のようなもの』
 を読み込み、
 他にも多くの資料にあたって、
 黒澤少年の心を占めた兄との関係、
 その後の人生への影響の深さを検証してゆきます。

 サイレント映画の弁士さんをしていた兄。

 黒澤さんが映画を撮っていた時期、
 既にサイレントは過去のものとなっていましたが、
 黒澤さんのフィルムの中には、
 『羅生門』の映像には、
 サイレント映画の要素が確かに存在する。

 白と黒の、あの画面は、
 兄にふり回された少年時代の記憶の残像……?

「いつもォ、こころのォどこかにィ~…」
「がるるるる……?」(←訳:お兄さんが……?)

 『羅生門』だけでなく、
 『生きる』を、
 『七人の侍』を、
 アンドラさんは解析してゆきます。

 黒澤明さんを動かし、
 映画を創らせた原動力とは何であったのか。

「しらなかッたことォ、いろいろあッたでス!」
「ぐるるがるる!」(←訳:新発見でした!)

 黒澤さんが、
 映画にしなかったことをもっとも後悔したとされるのは
 『平家物語』――

 と本文66ページに書かれていて、
 私ネーさ、唸りました。
 ああ、そうかぁ、
 黒澤さんは『平家物語』を撮りたかったのかぁ……
 もし作っていたとしたら、
 配役はどうなっていたでしょう?
 『平家物語』のどのエピソードが中心になるの?
 平家と源家、どちらの視点で描くの?

「ぎもんッ、つきませんッ!」
「がるぐるぅるる!」(←訳:想像しちゃうね!)

 御本の冒頭には、
 チャン・イーモウさんによる
 『序文 闇の中の光』
 が収録されています。

 この文章が素晴らしいので、
 どうか映画マニアの皆さま、
 しっかり序文を読んでから
 本文に取り掛かってくださいね。
 訳者・北村匡平さんによる『訳者あとがき』も
 必読ですので、ぜひ~♪
 
 
 
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