テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

フリーダのかがやき。

2007-11-13 14:16:33 | ブックス
「ネーさ、このひょうしィ、ちょッとこわいでス」

 怖くはありません、これは悲しい絵なんですよ、テディちゃ。
 フリーダ・カーロという画家さんが描いた自画像です。
 改めて御紹介しましょう。


 
         ――フリーダ・カーロのざわめき ――


 
 著者は、森村泰昌さん・藤森照信さん・芸術新潮編集部さん、
 ’07年9月に発行された作品です。

 フリーダ・カーロさんは1907年、メキシコシティに生まれました。
 18歳のとき、バスに乗っていて事故に遭ってしまいます。
 この事故で受けた傷は、生涯彼女を苦しめました。
 
 御本の表紙となっているのは
 1944年に描かれた『折れた支柱』です。

「なみだ、ながれていまスよ……」

 47歳で没するまで、フリーダさんは
 32回とも39回とも言われる数の手術を受けました。
 身体は、そして心も、悲鳴をあげ続けていたのでしょう。
 それはおそらく、
 私たちの想像も及ばないほどの痛みでした……。

 本作でフリーダの人生と作品をガイドして下さるのは
 森村泰昌さん。
 以前、フリーダに扮した作品を制作した経験もある森村さんが、
 密度の高いフリーダ絵画論を展開しています。
 
 建築探偵の藤森照信さんは、
 フリーダさんと、夫のディエゴ・リベラが
 暮らした家を訪ね、文にして下さいました。
 
「めきしこ、でスか」

 藤森さんが撮影したリベラの家の写真の、
 美しさに溜息しました。
 メキシコの建築に興味がある御方には、
 ぜひ、この『青い家』のページをじっくり読んでください!

 近頃すっかり有名になってしまったフリーダさん……
 美術ファンの方々には説明するまでもなかったでしょうか。
 私はむしろ、ディエゴ・リベラさんが好きなんですが。
 
 浮気しただの、フリーダを追い詰めただのと
 悪者呼ばわりされることも多いディエゴさんは、
 しかし、素晴らしい壁画を描いたひとでした。
 フリーダの絵の殆どは、痛みをあらわにした自画像です。
 ディエゴさんは、メキシコの子どもたちを描きました。
 虐げられる先住民の母子を描き、
 老人を描き、
 民衆を愛し、描いた人でした。
 壁画という性質上、
 それらの画が展覧会で世界を巡ることはありません。
 メキシコの町の、建物のどこかで、
 ただ寡黙に、観る者の訪れを待っているだけです。

 ホントはね、
 フリーダだけでなく、
 ディエゴだけでなく、
 ふたりがともに紹介される御本であったらなあ、と……
 これは贅沢なお願いですね。
 
 フリーダの恋人のひとりだったという
 ニコラス・ムライさんという写真家さん。
 苦痛を想わせる絵が多い中、
 ムライさんの撮影したフリーダ像が、
 鮮烈に目に灼きつきます。
 
「ベッぴんさん、でス!」

 美術ファン、写真ファン、建築ファン、
 中南米歴史ファンにもお奨めの一冊、です!
 
 
 
  
 
 
 
 
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