「こんにちわッ、テディちゃでス!
じわじわァ~はろうィ~んッ!」
「がるる!ぐるるるるがっるる!」(←訳:虎です!オレンジ色がいっぱい!)
こんにちは、ネーさです。
10月に入って、お店のディスプレイが
本気のハロウィンモードに変わりましたね。
揺れるカボチャ型バルーンの愛らしさにうっとりしつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 幸せな家族 ――
著者は鈴木悦夫(すずき・えつお)さん、
初刊単行本は1989年に、
画像の文庫版は2023年9月に発行されました。
『そしてその頃はやった唄』と副題が付されています。
「うぐぐゥ! でんせつのォ、いッさつゥ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:いろんな意味で!)
ええ、今回ご紹介する作品は、
良くも悪くも”伝説“を背負っています。
1989年に刊行された当時、
この御本はジュブナイル・ミステリとして
世に出ました。
ジュブナイル――
つまり、主な読者は少年少女さんであった訳ですが、
児童書とは思えないヘヴィな内容に
驚愕する読者さんが続出し、
”トラウマ本”扱いされたためでしょうか、
長い間、入手困難となっていました。
それが、ちょうど1年前、
文庫で復刊されると、
今度はオトナな読者層にヒットして、
5万部超の売れ行きを記録!
「ふしぎなァ~なりゆきィでスゥ!」
「がるるるっるぐる~…!」(←訳:ドラマチックだね~…!)
物語の核になるのは、
或る家族です。
写真家の、父・中道勇一郎(なかみち・ゆういちろう)さん。
母の由美子(ゆみこ)さん。
長女の一美(かずみ)さん、高校2年生。
長男の行一(こういち)くん、中学2年生。
次男の省一(しょういち)くん、小学6年生。
雪がほろほろと降る3月、
一家は、新しい家へと引越しをします。
写真の仕事に使えるスタジオも備えた、
大きな家。
引っ越しと同時に、
保険会社のTVCM《幸せな家族》の
モデルにも選ばれて、
公私ともに順風満帆、のように見えます、が……。
「あううううゥ~…!」
「ぐるるがる?」(←訳:突然の暗転?)
《幸せな家族》には不似合いな
怖ろしい出来事が起こり、
世間は震撼します。
しかもそれは一度に留まらず、
二度、三度と……。
「しッ、しんじィられませんッ!」
「がるるぐぅるるるる?」(←訳:これがジュブナイル?)
《幸せな家族》とは
いったい何であったのか――
ちょっとだけネタバラししちゃいますと、
この物語は、
A・クリスティーさんの
あの名作や、あの問題作から、
明らかに影響を受けています。
ただ、影響を受けつつも、
能天気なパロディーやパスティーシュ、
短絡的なオマージュとも違い、
より深みを、
いえ、より暗黒を目指している、
とでも形容すべきでしょうか。
悪夢なのか、現実なのか。
なるほど、これはトラウマになっちゃうかも……と
読後に嘆息させられる怪作を、
ミステリ好きな活字マニアの皆さま、
ぜひ!!
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