「こんにちわッ、テディちゃでス!
ふうッ!ようやくゥ~おいつきましたでス!」
「がるる!ぐるがぅ~る!」(←訳:虎です!寅子さぁ~ん!)
こんにちは、ネーさです。
乗り遅れていた朝ドラ『虎に翼』の進行にやっと追いつき、
今週は法廷での対決にハラハラ……!
寅子さんとファミリーに声援を送りつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
―― マルガリータ王女の肖像 ――
著者は柳澤一博(やなぎさわ・かずひろ)さん、
2024年1月に発行されました。
『Margarita Teresa de España』とスペイン語題名が、
『宮廷画家ベラスケスの栄光とスペイン・ハプスブルク家の没落』
と日本語副題が付されています。
ベラスケスさん――
本名:ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケスさんは、
1599年スペイン帝国のセビーリャに生まれ、
1660年マドリッドにて没……。
ベラスケスさんを《画家の中の画家》と称賛したのは
19世紀の画家エドゥアール・マネさんでしたが、
現代でもその評価は全く変わっていませんね。
「ふァいッ! だいにんきィでスよゥ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:美術館の大看板!)
アート系ノンフィクションの主題として
最も頻繁に取り上げられるのが
センセーショナルな人生を送った
イタリア人画家カラヴァッジョさんだとするならば、
その双璧ともいうべき存在は、
ベラスケスさんでしょうか。
ベラスケスさんの出自に関しては、
諸説あって判然としないものの、
セビーリャで画家パチェーコさんの工房に弟子入りした頃から
ベラスケスさんの行動と目標は次第に明らかになってゆきます。
国王の肖像画を描く。
「わァおッ!」
「がるっ!」(←訳:すごっ!)
1922年、ベラスケスさん23歳。
王都マドリードに赴くも、
この時はまだ、肖像画制作は許されませんでした。
一年を経て、ベラスケスさん24歳。
ようやっとスペイン国王フェリペ4世に拝謁がかない、
ベラスケスさんは肖像画を描くことになりました。
幸運にも、
仕上がった肖像画を気に入ったフェリペ4世は、
宮廷画家に任命されます。
「やりましたでスゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:船出だあ!)
宮廷画家ベラスケスさん爆誕!
……を大いに祝福したいところなんですけれども、
実はこれ、大変な、あまりに大変なお仕事でした。
著者・柳沢さんは鋭く指摘しています。
当時のスペイン――
スペイン・ハプスブルク家が統べる王国は、
現在とは桁違いの大国、いえ、”超大国”。
広大な領土と、
新大陸から得る莫大な富、
貿易国家としても巨大で、
当時のスペインの通貨は国際基軸通貨であった、と。
かくも特殊な国で、
政治に無縁でいられるはずはなく、
事実上”王の片腕”となって東奔西走し、
それでも、
ベラスケスさんは画布に向かうことを止めません。
王と王妃の姿。
小さな王女が育ってゆく姿。
宗教画。
王宮に出入りする人びと。
彼らを、描ききる。
写し取る。
数年間のイタリア滞在を除いて、
ベラスケスさんは最後まで
スペイン宮廷に生きました。
「もッとォ、ながいきィしてほしかッたでスゥ……」
「がるるるるる……!」(←訳:惜しまれます……!)
現代に暮らす私たちからは想像するのも難しい
往時の超大国スペイン。
王と王国のために生命を燃やし尽くした
ひとりの画家さんの生涯を、
マルガリータ王女の肖像画を軸に描写する
ノンフィクション作品は、
アート好きな活字マニアに激おすすめですよ。
なんでイタリアから帰ってきちゃったんだベラスケスさん、
そのまま住み続ければよかったのに~!
なんてちょっぴり思ったりしながら(個人の感想です)、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪