テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 超大国の、王座の横で ~

2024-05-02 22:03:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふうッ!ようやくゥ~おいつきましたでス!」

「がるる!ぐるがぅ~る!」(←訳:虎です!寅子さぁ~ん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 乗り遅れていた朝ドラ『虎に翼』の進行にやっと追いつき、

 今週は法廷での対決にハラハラ……!

 寅子さんとファミリーに声援を送りつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― マルガリータ王女の肖像 ――

 

 

 著者は柳澤一博(やなぎさわ・かずひろ)さん、

 2024年1月に発行されました。

 『Margarita Teresa de España』とスペイン語題名が、

 『宮廷画家ベラスケスの栄光とスペイン・ハプスブルク家の没落』

 と日本語副題が付されています。

 

 ベラスケスさん――

 本名:ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケスさんは、

 1599年スペイン帝国のセビーリャに生まれ、

 1660年マドリッドにて没……。

 

 ベラスケスさんを《画家の中の画家》と称賛したのは

 19世紀の画家エドゥアール・マネさんでしたが、

 現代でもその評価は全く変わっていませんね。

 

「ふァいッ! だいにんきィでスよゥ!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:美術館の大看板!)

 

 アート系ノンフィクションの主題として

 最も頻繁に取り上げられるのが

 センセーショナルな人生を送った

 イタリア人画家カラヴァッジョさんだとするならば、

 その双璧ともいうべき存在は、

 ベラスケスさんでしょうか。

 

 ベラスケスさんの出自に関しては、

 諸説あって判然としないものの、

 セビーリャで画家パチェーコさんの工房に弟子入りした頃から

 ベラスケスさんの行動と目標は次第に明らかになってゆきます。

 

 国王の肖像画を描く。

 

「わァおッ!」

「がるっ!」(←訳:すごっ!)

 

 1922年、ベラスケスさん23歳。

 王都マドリードに赴くも、

 この時はまだ、肖像画制作は許されませんでした。

 

 一年を経て、ベラスケスさん24歳。

 ようやっとスペイン国王フェリペ4世に拝謁がかない、

 ベラスケスさんは肖像画を描くことになりました。

 幸運にも、

 仕上がった肖像画を気に入ったフェリペ4世は、

 宮廷画家に任命されます。

 

「やりましたでスゥ!」

「ぐるがる!」(←訳:船出だあ!)

 

 宮廷画家ベラスケスさん爆誕!

 ……を大いに祝福したいところなんですけれども、

 実はこれ、大変な、あまりに大変なお仕事でした。

 

 著者・柳沢さんは鋭く指摘しています。

 当時のスペイン――

 スペイン・ハプスブルク家が統べる王国は、

 現在とは桁違いの大国、いえ、”超大国”。

 広大な領土と、

 新大陸から得る莫大な富、

 貿易国家としても巨大で、

 当時のスペインの通貨は国際基軸通貨であった、と。

 

 かくも特殊な国で、

 政治に無縁でいられるはずはなく、

 事実上”王の片腕”となって東奔西走し、

 それでも、

 ベラスケスさんは画布に向かうことを止めません。

 

 王と王妃の姿。

 小さな王女が育ってゆく姿。

 宗教画。

 王宮に出入りする人びと。

 彼らを、描ききる。

 写し取る。

 

 数年間のイタリア滞在を除いて、

 ベラスケスさんは最後まで

 スペイン宮廷に生きました。

 

「もッとォ、ながいきィしてほしかッたでスゥ……」

「がるるるるる……!」(←訳:惜しまれます……!)

 

 現代に暮らす私たちからは想像するのも難しい

 往時の超大国スペイン。

 王と王国のために生命を燃やし尽くした

 ひとりの画家さんの生涯を、

 マルガリータ王女の肖像画を軸に描写する

 ノンフィクション作品は、

 アート好きな活字マニアに激おすすめですよ。

 

 なんでイタリアから帰ってきちゃったんだベラスケスさん、

 そのまま住み続ければよかったのに~!

 なんてちょっぴり思ったりしながら(個人の感想です)、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪ 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする