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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 永遠の、アオハルの日々 ―

2020-02-09 23:17:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くうきィはァ~ふゆゥでスけどォ!」
「がるる!ぐるるるるるがるる!」(←訳:虎です!お花屋さんは春です!)

 こんにちは、ネーさです。
 菜の花に桃の花、とりどりのアネモネ……と、
 お花屋さんの店頭は春の色合いですね。
 そこで、本日の読書タイムも、
 春……ならぬ“アオハル”なエッセイ作品を御紹介しますよ。
 さあ、とちえあを、どうぞ~♪

  



       ―― べらぼうくん ――
 


 著者は万城目学(まきめ・まなぶ)さん、
 2019年10月に発行されました。
 『週刊文春』2017年11月2日号から
 2019年5月23日号にかけて連載した当時は、
 『人生論ノート』というタイトルだったのですが……

「いつもォまにかッ??」
「ぐるがるぅっる!」(←訳:変身しちゃった!)

 『べらぼうくん』。

 箆棒、と難しい漢字で表されるこの言葉は、
 あまりにひどい、馬鹿げている、筋が通らない、等の他に、
 阿呆だ、という意味も込められているのだそうです。

 そして、著者・万城目さんが、
 阿呆やなぁ、と言いたげに振り返るのは、
 昔の自分――
 小説家への道を歩み始めようとしていた
 “青春時代”の万城目青年、なのでした。

「ちょッこッとォ、あんらッきィ?」
「がるぐるがっるーるる!」(←訳:でも実はラッキーかも!)

 万城目さんが
 《私の人生が始まったのだ》と評するのは、
 浪人生のときから。

 京都大学に一発現役合格して、
 エリートになっちゃって、
 人生バラ色~♫
 になる予定が、浪人して、大手予備校で仕切り直しして。

 しかし、万城目さん御自身が、
 ここから始まった、と言い切るのですから、
 人生とは本当に不思議なものです。

「えんじんッ、すたァーとォ!」
「ぐるぅーるるる!」(←訳:猛チャージだよ!)

 翌年、万城目青年は
 晴れて京大法学部に入学し、
 チャラついた学生生活を
 思う存分謳歌することに……

 ならないのよねえ。

「まじめェ、なのでス!」
「がぅるるるるる!」(←訳:チャラくないよ!)

 自分なりの一人暮らしスタイルを確立した万城目さん、
 夏休みには勇んで海外旅行へ。

 その頃は、
 格安航空券の黎明期。
 夜明け前の、つまりまだ小さな店舗だった『H.I.S.』で
 ヨーロッパ行きチケットを恐る恐る購入して、
 トーマス・クックの時刻表を荷物に詰め、
 でもガイドブックは持たずに、
 未知の地へ。

 ええ、万城目青年は、
 沢木耕太郎さんの『深夜特急』に
 すっかり影響されていたんです。

「そこらへんがァ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:べらぼうくん!)

 べらぼうくんの海外ひとり旅は、
 ああ、やっちまいました……
 ヴェネツィアの海水浴場で置き引きに遭い、
 パスポートも航空券も現金も、
 ぜ~んぶ持っていかれて……。

「もうゥ、ぼうぜんッでスよゥ~…」
「がるるぐるるるる……」(←訳:言葉もありません……)

 いえいえ、ここからが
 べらぼうくんの本領発揮です。

 いざサバイバル!
 19歳のすべての知恵と知識と語学力と度胸をフル稼働して、
 道を探そう!
 切り拓こう!

 そうしてまた、
 この旅の間に、
 万城目青年は発見するのです。

 ノートを広げて日記をつけながら、
 自分にしっくりくるものは、
 絵ではなく、詩でもなく、
 日本語である、と。

「おおォ~♪」
「がる~♫」

 発見は、さらなる始まりでした。

 小説家になる、
 そのための、
 助走の始まり。

 その激闘を、その胸の高鳴りを、
 苦難の道のりの記憶を、
 万城目さんのファンの方々は、
 ぜひ、一読してみてくださいな♫

「ほるもォー!」
「がっるるるぐるるー!」(←訳:待ってますホルモー!)

 そうですね、
 いつか《鴨川ホルモー》新作が読める日を
 心待ちにしながら……。