テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 名作、そのうしろ姿 ―

2013-04-07 21:26:03 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ふぱァ! いいんでスかッ!」
「がるる!ぐるぐるぅぐる??」(←訳:虎です!バラしちゃうの??)

 こんにちは、ネーさです。
 いいのかバラしちゃっても?
 怒られるんじゃないのか作者さんに??
 本日の読書タイムは、
 そう心配したくなっちゃう一冊を御紹介いたしましょう♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



 
            ―― 名作うしろ読み ――



 著者は斎藤美奈子さん、2013年1月に発行されました。
 この御本の基本テーマは、

   《名作をうしろから読む》

 つまり、
 名作と謳われる作品の〘結びの一文〙を
 あらためて読み直してみよう!
 とでも申しましょうか。

「むすびッってェいうとォ~…」
「ぐるるがるる、ぐる?」(←訳:お話の終わり、だね?)

 
 よく、
 一行目から傑作と分かった!
 出だしからして名文である!
 などという言い方をしたします。

 作家さんが全身全霊をこめて
 原稿用紙の上に記した最初の一文……

 そして、その対角線上にあるのが、
 結びの、
 物語を締め括る一文――エンディング。

 著者・斎藤さんがこの御本で取り上げるのは、
 名作のエンディングです。

 或いは、読み手の側からすれば、
 作品の後ろ姿、ともいえるシーンですね。

「ばらしちゃッてェ、いいのッ??」
「ぐるるがぅる!」(←訳:怒られちゃう!)

 大丈夫!
 名作は、名作であるがゆえに強靭です!
 エンディングシーンを知られたくらいでは、その評価は揺らぎません。
 それに、誰もが一度は読んだことがある、
 活字マニアさんには既によく知られている、
 そんな作品ばかりですから、
 この際、つくづくと読み直し、味わい直してみるのもいいか、と
 御本をひもといてみれば……

 いきなり、ノックアウトされます!
 夏目漱石さん著『坊ちゃん』の、結びの文に!

   《だから清の墓は小日向の養源寺にある。》

 井上ひさしさんが日本文学史上もっとも美しい『だから』だと評したこの文章を、
 著者の斎藤さんも、その通りだと思う、と言っています。

「だからがァ、うつくしいィ??」
「がるぐるぅ??」(←訳:どうしてぇ??)

 斎藤さんの解説を一読すれば、
 ああ、そうだ、本当にそうだ、と納得させられます。
 坊ちゃんと、ばあやの清(きよ)さん……
 このエンディングの読み方次第で、
 すべてが変わってくる……!

「ひゃくはちじゅうどォ!」
「ぐるるる!」(←訳:違う顔に!)

 他にも、
 司馬遼太郎さん著『竜馬がゆく』、
 小林多喜二さん著『蟹工船』、
 牧野富太郎さん著『牧野富太郎自叙伝』、
 小川未明さん著『赤いろうそくと人魚』、
 江戸川乱歩さん著『押絵と旅する男』、
 エーリヒ・ケストナーさん著『点子ちゃんとアントン』……

「うむゥ! ふどうのォ、めいさくゥ!」
「がるるがるるぐる!」(←訳:ダイヤモンドだよ!)

 胸を衝かれる結びの一文は数々ありますが、
 皆さまもきっとよく御存じの、
 あの作品のエンディングをもって
 今日の読書タイムの結びに代えさせていただきましょう。
 おとなもこどもも、
 知らぬ者はなかろうあの作品です!


  新美南吉さん著『手袋を買いに』より――


  《『ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら』とつぶやきました。》


コメント
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