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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

“珠玉”って、つまりはコレです。

2012-08-24 23:14:27 | ブックス
「こんにちわァ~、テディちゃでスゥ~…
 あうゥ~…なつやすみィがァ~…」
「がるる!ぐるっがっるるる~!」(←訳:虎です!終わっちゃうよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 8月最後の週末がやって来ちゃいましたね。
 暑さのあまり、いまひとつ実感が湧きませんが、
 本日の読書タイムでは、
 夏休みと同じように、

  終わってほしくない!!

 と叫びたくなる一冊を御紹介いたしましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― サラダ好きのライオン ――


 
 文は村上春樹さん、画は大橋歩さん、2012年7月に発行されました。
 『村上ラヂオ3』と副題が付されたこの御本は、
 雑誌an anに掲載されていたエッセイと画がなんとも心地良くて、
 2012年のベストエッセイ賞は決定的ですね!
 
「だいにんきィ、れんさいィ、でしたでス!」
「がるがる!」(←訳:うんうん!)
「でもォ……さらだァ? らいおんッ??」
「ぐるがるー?」(←訳:何のことー??)

 題名『サラダ好きのライオン』が登場するのは、
 冒頭に収録された作品《忘れられない、覚えられない》。
 こんな風に記されているのです。

  ―― 眠れない夜は僕にとって、サラダ好きのライオンくらい珍しい ――

「ふむっふむッ!
 らいおんくんはァ、にくしょくゥでスからッ!」
「がるるぐるるっるぐるがるー」(←訳:サラダは好きじゃないかもねー)

 どうやら寝付きが良い体質らしい?村上さんの筆は、
 就寝の間際に限って浮かぶグッドアイディアの話題から
 作曲家ベルリオーズさんの悲劇に飛びます。

 ベルリオーズさん、
 夢の中で交響曲を作曲!
 目が覚めたときも、
 第一楽章を丸ごと思い出すことができました!
 ああ、でも、
 彼には作曲に専念できない理由があったのです。
 それは……

「べるりーおじさんッ、かわいそうゥッ!」
「ぐるぐるがるる……」(←訳:ホントに悲劇だ……)

 他にも、ライオンくんが出てくる作品がありますよ。

 『シェーンブルン動物園のライオン』と題された一編では、
 村上さん、
 なんと極至近距離で雌ライオンと対峙する事態となります。
 場所はウィーン、
 季節は寒波襲来の晩秋、
 殆ど観客のいない動物園で
 何が起こったのかといえば――

「ちょッとォ、しゅーるゥ、でス!」
「ぐるぐるがる!」(←訳:不思議な光景!)

 音楽のおはなし。
 鞄のおはなし。
 ホノルルのトライアスロンのおはなし。
 テレビには出ない、というおはなし。
 なぜ人は走るのか?というおはなし。

 投げ上げられたボールが
 ゆっくり、ゆっくり、弧をえがいて青空を横切ってゆくのを見るような、
 うつくしいおはなしたち。

 そして、大橋さんの画もうつくしさも、格別です!
 エッセイ好きな活字マニアさんも
 村上さん大好き!な御方も
 ぜひぜひ、読み逃しなく~!

「やッぱりィ、ことしのォ、いちばんッ!」
「ぐるる!」(←訳:だよね!)

 どうか、またいつか、anan誌上で連載が再開されますように!