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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

キジの救い手。

2012-01-22 23:38:07 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日1月22日は私どもの地元・東京八王子の市長選挙の日!
 寒~い中、いちばんガンバってくださったのは……
 各投票所のスタッフさんたちでしたね!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みなさまァ、おつかれさまでしたでス!」
「がるる!ぐるがるるるぐるぐるる!」(←訳:虎です!朝からたいへんでした!)

 お役所関係のお仕事は何につけタイヘンなものですが、
 遠い異国でも、事情は大差ないらしゅうございますよ。
 さあ、本日の読書タイムは、
 2011年の翻訳ミステリジャンルでも話題になったこちらの御本を、どうぞ~!

  


 
          ―― 特捜部Q ―キジ殺し― ――


 
 著者はユッシ・エーズラ・オールスンさん、
 原著は2008年に、画像の日本版は2011年11月に発行されました。
 大評判を呼び、
 2011ミステリ本ランキングの上位に食い込んだ
 オールスンさん著『特捜部Q ―檻の中の女―』に続くシリーズ第二作です。

「ふァいッ!
 テディちゃ、おぼえてェまス!
 でんまーくのォ、おじちゃんッ、なのでスゥ!」
「がるぐるる~ぐるがる!」(←訳:ひねくれ者で、切れ者で!)
 
 ひねくれ者であるために、
 通常の捜査課から、
 『特捜部Q』などという、
 新設の部署に追い出されてしまったコペンハーゲン署の刑事カール・マークさん。

 いかなる幸運か偶然か、
 いえいえ、カール・マークさんのこれこそが底力!であったのか、
 なんと、
 始動して間もない『特捜部Q』は
 迷宮入り状態になっていた事件を解決してしまいました。
 
 それが気の弛みとなったのか、
 三週間の夏の休暇から戻ってみると……
 おや?
 次に手掛けようとしていた事件の資料は?

「ふぴゃッ? なくなッてるでスよゥ?」
「ぐるがるるるがるる~?」(←訳:どこ行っちゃったの~?)

 でもって、この、
 別の古い事件の資料の束は何なんだ?

 助手のアサドさんに勧められ、
 とりあえず資料に目を通してみたカール・マークさんでしたが、
 やがて奇妙な点に気付きます。
 
  解決済み。
  犯人は犯行を自供し、
  逮捕・収監されていて、
  無罪を訴えているわけでもなく、
  刑務所で従順に服役中。

 ……これのどこに『特捜部Q』の出る幕がある?

「なさそうゥでス!」
「がる!」(←訳:だね!)

 いえいえ、もちろん、出る幕はあったのですよ。
 資料の中に、カール・マークさんは見つけます。
 解決されていない疑問を。
 不審の数々を。
 
 いや、それでも、
 未解決の事件は他にも、
 机の上に山となっている。
 犯人が逮捕されているこの事件より、
 別の未解決事件に取り組むべきなんじゃないのか、俺は?

「うむむゥ、そうともォ、いえまスゥ~」
「がるるぐるぐる~」(←訳:困難な選択だね~)

  もう止めようか――

 戸惑うカール・マークさんの背を押すのは、
 助手アサドさんの悲鳴にも似た言葉です。

  理解できません。
  だって、今、被害者のために何かできるのは
  私たちだけじゃありませんか。
 
 カール・マークさんを動かす言葉。
 そして、私たち読み手の心をも動かすことば。
 アサドさんのこの言葉はまた、
 すべてのミステリ愛好家の想いにも繋がります。
 悪を、赦すな。
 悪を、見逃すな。
 悪を、野に放ってはいけない。
 たとえ、ものがたりの中であっても――

 そう、これはやはり、
 『特捜部Q』が扱うべき案件だったのでした。

 特捜部付きの新人秘書ローセさん、
 警察署の捜査課長さんたち、
 こき使える人員は皆こき使って、
 カール・マークさんは邁進します。
 解決済みのはずの、
 古ぼけた事件の中心へ――

「はんにんはァ、どこォでスかッ」
「がるぐるるがるるるっ」(←訳:危険な匂いがするよっ)

 今回も、著者・オールスンさんの手腕は冴えます!
 未読の御方は、
 先ずはシリーズ一作目の『特捜部Q ―檻の中の女―』を、
 その次にこちらの『キジ殺し』をお読み下さいね。
 ますます面白くなってくる北欧ミステリから、
 目が離せませんよ~!