こんにちは、ネーさです。
今日10月27日からは、読書週間の始まり始まり~♪ですね。
「こんにちわゥ、テディちゃでス!
ほほゥ~♪ どくしょしゅうかんッ、でスかァ~♪」
「がるる!ぐるぐるがるる!」(←訳:虎です!神保町へ行こう!)
日本、いえ、世界きっての本の街・神保町では、
また今年も書籍関連のイベントが開催されるようですよ。
活字マニアの皆さま、お出掛けしてくださいね。
さあ、では記念すべき秋の読書週間第一日目の読書タイムは……
こちらを、どうぞ~!
―― 人質の朗読会 ――
著者は小川洋子さん、2011年2月に発行されました。
御本の表紙の、見る者をハッとさせる美しい作品『子鹿』の作者は土屋仁応さん、
装丁は、白石良一さん、生島もと子さん。
「ふァ~、こじかちゃんだッ!」
「がるるるぐるがるるぐるぐる~…!」(←訳:なんてきれいな鹿さんだろう~…!)
神さまの御使いを想わせる鹿さんが、
その大きな白い耳で聴きいるのは……
静かな静かな、
人質たちの、朗読会。
そこは異国でした。
海を隔て、
山も谷も、いくつもの国境線をも隔てた或る場所で、
誘拐事件が起こりました。
連れ去られたのは八人の日本人旅行者、
犯行グループは解放の条件として、拘束されている仲間の釈放と
身代金を要求するものの、
交渉は難航、
事件は膠着状態に陥りました。
人質たちが、なぜ朗読会をすることになったのか……
その理由は何だったのでしょう。
退屈しのぎ?
ほんの偶然?
怖ろしい現実から逃避しようと?
囁くような、幽かな朗読に耳を傾ける者など、いるのでしょうか。
人質たちが閉じ込められている荒野の陋屋の、
天井に巣を張る蜘蛛、くらいのもの?
壁や床を這う蟻たちも、
その声を聞きつけたでしょうか。
いいえ、彼らだけではありませんでした。
小屋には、政府側の機関の手で盗聴器が仕掛けられていたのです。
盗聴器が拾う人質たちの語りを、
ひそやかに、
ひとりの特殊部隊隊員が耳にしておりました。
「しーッ! しずかにィ!」
「がるぐるがるがる!」(←訳:邪魔しちゃだめですよ!)
息を詰め、人質たちの朗読を聴きながら、
私たち読み手は、
つい、溜め息したりしちゃいます。
ズルいなあ、小川さん!
こんな風に物語を突き付けられちゃったら、
何も聞き逃すまい、読み逃すまいと、
そりゃもう必死に、真剣に、
ひと文字ひと文字を追わずにはいられないじゃありませんか。
ページのどこかに、
人質さんたちを救う手立てが秘められ、隠されているかもしれない。
その鍵を見出したら、
遠い異国の誘拐事件を
私たち読み手が解決することだって出来るかもしれない。
既に起こってしまった事件を
防ぐこと、変えることだって出来るかもしれない。
なぜなら、
書物の中では、どんな不思議な出来事も起こり得るのですから。
起こるはず、なんですから。
「おこるゥ、のでス!」
「ぐるるるがるがる!」(←訳:起こらせようよ!)
子鹿さんが耳を澄ます
《人質の朗読会》は、
“ものがたり”の精華となって
読み手の耳朶を打ちます。
聴覚はどこまでも、何百マイル何百キロの先までも伸び、
言葉の前に頭(こうべ)を垂れます。
万感の、語りの、ちから。
すべての活字マニアさんに、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。
「しんじようッ、ものがたりのォ、ちからッ!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:ボクらは信じる!)
付記:北杜夫さんの訃報に接し、私ネーさ、茫然としております。
大好きなドクトル・マンボウ。
躁鬱病の、我らがドクトル!
今頃は、お父さま、お兄さま、仲良しの遠藤周作さんと再会し、
ワハハと笑っておられるでしょうか。
ドクトル、どうか、どうか、やすらかに。
今日10月27日からは、読書週間の始まり始まり~♪ですね。
「こんにちわゥ、テディちゃでス!
ほほゥ~♪ どくしょしゅうかんッ、でスかァ~♪」
「がるる!ぐるぐるがるる!」(←訳:虎です!神保町へ行こう!)
日本、いえ、世界きっての本の街・神保町では、
また今年も書籍関連のイベントが開催されるようですよ。
活字マニアの皆さま、お出掛けしてくださいね。
さあ、では記念すべき秋の読書週間第一日目の読書タイムは……
こちらを、どうぞ~!
―― 人質の朗読会 ――
著者は小川洋子さん、2011年2月に発行されました。
御本の表紙の、見る者をハッとさせる美しい作品『子鹿』の作者は土屋仁応さん、
装丁は、白石良一さん、生島もと子さん。
「ふァ~、こじかちゃんだッ!」
「がるるるぐるがるるぐるぐる~…!」(←訳:なんてきれいな鹿さんだろう~…!)
神さまの御使いを想わせる鹿さんが、
その大きな白い耳で聴きいるのは……
静かな静かな、
人質たちの、朗読会。
そこは異国でした。
海を隔て、
山も谷も、いくつもの国境線をも隔てた或る場所で、
誘拐事件が起こりました。
連れ去られたのは八人の日本人旅行者、
犯行グループは解放の条件として、拘束されている仲間の釈放と
身代金を要求するものの、
交渉は難航、
事件は膠着状態に陥りました。
人質たちが、なぜ朗読会をすることになったのか……
その理由は何だったのでしょう。
退屈しのぎ?
ほんの偶然?
怖ろしい現実から逃避しようと?
囁くような、幽かな朗読に耳を傾ける者など、いるのでしょうか。
人質たちが閉じ込められている荒野の陋屋の、
天井に巣を張る蜘蛛、くらいのもの?
壁や床を這う蟻たちも、
その声を聞きつけたでしょうか。
いいえ、彼らだけではありませんでした。
小屋には、政府側の機関の手で盗聴器が仕掛けられていたのです。
盗聴器が拾う人質たちの語りを、
ひそやかに、
ひとりの特殊部隊隊員が耳にしておりました。
「しーッ! しずかにィ!」
「がるぐるがるがる!」(←訳:邪魔しちゃだめですよ!)
息を詰め、人質たちの朗読を聴きながら、
私たち読み手は、
つい、溜め息したりしちゃいます。
ズルいなあ、小川さん!
こんな風に物語を突き付けられちゃったら、
何も聞き逃すまい、読み逃すまいと、
そりゃもう必死に、真剣に、
ひと文字ひと文字を追わずにはいられないじゃありませんか。
ページのどこかに、
人質さんたちを救う手立てが秘められ、隠されているかもしれない。
その鍵を見出したら、
遠い異国の誘拐事件を
私たち読み手が解決することだって出来るかもしれない。
既に起こってしまった事件を
防ぐこと、変えることだって出来るかもしれない。
なぜなら、
書物の中では、どんな不思議な出来事も起こり得るのですから。
起こるはず、なんですから。
「おこるゥ、のでス!」
「ぐるるるがるがる!」(←訳:起こらせようよ!)
子鹿さんが耳を澄ます
《人質の朗読会》は、
“ものがたり”の精華となって
読み手の耳朶を打ちます。
聴覚はどこまでも、何百マイル何百キロの先までも伸び、
言葉の前に頭(こうべ)を垂れます。
万感の、語りの、ちから。
すべての活字マニアさんに、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。
「しんじようッ、ものがたりのォ、ちからッ!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:ボクらは信じる!)
付記:北杜夫さんの訃報に接し、私ネーさ、茫然としております。
大好きなドクトル・マンボウ。
躁鬱病の、我らがドクトル!
今頃は、お父さま、お兄さま、仲良しの遠藤周作さんと再会し、
ワハハと笑っておられるでしょうか。
ドクトル、どうか、どうか、やすらかに。