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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

たのしき冒険旅行は……?

2010-01-15 23:03:48 | ブックス
「ふんしょッ! えいッえいッ!」
「がるるるっ!」

 ……あのぅ、テディちゃに虎くん?
 また何の騒ぎですの?

「あッ、ネーさ!
 ただいまァ、しもばしらァ、ぶッとばしィちゅうゥ~でス! とりゃッ!」
「がるるっ!」(←訳:がしがしっ!)

 ええ、今朝の東京・多摩地方は、そりゃもーう寒うございましたとも。
 霜柱だってバリバリに……って、踏んで遊ばなくてもいいですから!
 
「ちぇッ、おもしろいィのにィ!」
「がるっ!」(←訳:だよねっ!)

 冷え込む冬の気候は忘れて、さあ、本日ご紹介いたしますのは……夏のおはなし!
 こちらを、どうぞ~!



                 ―― 僕たちの旅の話をしよう ――



 著者は小路幸也さん、’09年10月に発行されました。
 『東京バンドワゴン』シリーズで知られる小路さんの、文庫書き下ろし作品です。

「あはッ!
 ふるほんやさんッ、でてくるのでスかァ~♪」
「がるる~!」(←訳:出てくるといいな!)

 いえいえ、『バンドワゴン』ファンさんにはちょっと残念なのですが、
 今回、古本屋さんは舞台とはなりませんでした。

 この御本の舞台となっているのは……
 《空の道》でしょうか。

「おそらッ?」
「がる~っ?」(←訳:大空ってこと?)

 都会からは遠く離れた山奥の、
 小さな村に住むひとりの女の子。
 彼女と、東京に住み暮らす3人の少年少女たちをつないだのは、
 赤い風船でした。

 藤倉舞(ふじくら・まい)ちゃんが、空へ飛ばしたのは
 手紙をつけた赤い風船――
 風船は偶然にも、同年代の小学生、
 芳野健一(よしの・けんいち)くん、
 喜田麻里安(きだ・まりあ)ちゃん、
 米沢隼人(よねざわ・はやと)くんの手元に届きました。
 
 舞ちゃんの手紙に応え、
 健一くんたちがそれぞれに返事を送ったことから、
 遠方の舞ちゃんと、
 東京の3人の間に絆が結ばれます。

 いつか会えたらいいね!と。

「うむッ!
 おともだちにィ、なりたいィでス!」
「がるがるっ!」(←訳:きっと楽しい!)

 となれば、夏休みを利用して、
 3人の東京っ子たちは舞ちゃんの家へと冒険旅行~♪
 一生の思い出となる黄金の夏の始まり始まり~♪
 ……そんな展開になりそうなものですが。

「えッ? ならないィのでスかッ?」
「がるっ?」(←訳:どうなるのっ?)

 健一くん、麻里安ちゃん、隼人くん、
 彼らの《家》に波風が立ち、
 冒険旅行どころではなくなってしまった、のです。
 
 互いを思い遣りつつ、
 友人を危機から救い出そうと、
 東京っ子たちは知恵を絞り、
 舞ちゃんも彼らを手紙で励まします。
 
 オトナのルール、大人の都合、
 大人たちの身勝手と闘いながら……。

「うィ!
 おとなッてェ、ほんとにィ、わがままッでスよゥ!」
「がるるるっ!」(←訳:言えてるよね!)

 『東京バンドワゴン』の世界観ともちょっぴり重なっているような、
 ほのかにミステリアスな香り漂う《冒険ものがたり》です。
 3人が冒険に踏み出す前のステップに、
 読み手さんは必ずや共感することでしょう。
 
 現役小学生さん、
 むかーし小学生だった方々にも、おすすめの一冊です♪
 
「しょうがッこうゥ、いッたことないィ、くまもォ、ぜひッ!」
「がるる~るっ!」(←訳:人間って不思議だね!)