先日、山西省太原市という街へ行って来ましたが、驚くような光景に出会いました。
この青白の車ですが、BYDという中国の自動車会社が生産しているEVタクシー。
なんと町中のタクシーが全てこれになっています。
ガソリン車のタクシーは、全部廃止されてコイツに置き換わったとのこと。
BYDと言う会社は、設立当時頃からいろいろおつきあいのあった会社ですが、元々は電池屋さん。
将来はEVだと言うことで、初期はガソリンエンジンの車作りながら、車のお勉強。
カローラそっくりだったりして、コピー品でしたが、結構真面目な取り組みで、品質は最初からそんなに悪くなかったです。
で、世の中がEVだ、と言うことで中国国内で急上昇。
なんでも、このタクシーに使う鋼板を、太原市の太原鋼鉄から買うという約束を交換条件に市内のタクシーを全部EVにしてしまいました。
政府の強い中国ですので、こんなこともありなんですが、山西省は、地図で見て貰うとわかるように内陸部。
元々、鉄鉱石や石炭産業が主力の場所で、太原もかつては重工業都市。
過剰設備対策や、PM2.5対策もあって、街の主力産業が衰退する中、環境都市への脱皮をスローガンにしています。
太原もそうですが、中国の街をウロウロすると、こういう充電ステーションが街のあちこちにあります。
ちょっとした路地にも何台か充電器が並んでいたり、駐車場の一部に充電器が並べてあったりと、日本よりも充電設備は充実しつつあります。
もちろん無人で、決済はスマホ。
大型バスも、どんどんEV化が進展中。
電池重量の問題で、日本などではまだまだ開発中ですが、お隣では、鉛蓄電池のEVバスだってあります。
走行距離が短ければ、途中で電池そのものを交換してしまえば良い、という割り切り。
車庫に入れば充電はもちろんですが、主要なバス停には急速充電器が付いていたりして、途中で動けなくなるようなことを防止しています。
EV普及には、こういうインフラ整備が必須ですが、お上主導ですので、なんでもどんどん行ってしまいますね。
SUV型のEVだってどんどん登場。
先日、北京でUberで車呼んだら、こういうEVが来て運転手(所有者)のオジさんと話が出来ました。
走行可能距離は、実際ベースで300km位。渋滞が多い、夜の走行が多いと200km位で充電すると。
EVなので、定価はちょっと高いが、補助金があったり、ガソリン車のようにナンバー取得に多額の費用がかからないこと、ナンバー制限がないので比較的すぐに車が購入できること、等の理由で、初めての自動車購入にEVを選んだと。
ちょっと前まではEV車は比較的小さな車が多かったので、Uber等でアルバイトをするためには不便だったが、最近大型化してきたので、お客さんも喜んで乗ってくれると。
自宅は、もちろんアパートなので自宅での充電は、事実上無理だと。
駐車場がないので、毎日違うところに停めるしかなく、充電するのは街にある充電スタンド。
乗り心地も普通だし、実用上問題ない水準の様でした。
友人の政府関係者の一人が、ガソリン車からEVに車を乗り換えました。
充電問題は、どうしているのかと聞くと、役所の充電スタンドだと。
EV化が急速に進展することで、CO2削減、というのが普通ですが、お隣の場合は、石炭火力発電が多いので、エネルギー効率を考えるとCO2削減にはなっていないようです。
それでも、大気汚染防止には役に立っているようです。
政府関係者が、ポロッと言っていましたが、そのうちEVには別途課税しないと石油税の減少分をカバーできなくなるよね、と。
それにしても、急激な発展ぶりには本当に驚きます。