ぶちょうほうの画(え)日記(一語一画(え))

亭主「ぶちょうほう」の身の周りのいろいろな風物を「画(え)日記」ふうに綴っています。

中秋の名月:月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月    詠み人しらず

2022-09-11 08:32:32 | 草花
昨晩は、NHKのBSで月の番組をやっていました。東京の午後九時は綺麗な月が見えていましたね。
月は人の心に少なからず影響を及ぼす様で、古来、月が詩や俳句・綴り方の世界でも幾多の作品が生まれてきました。

いま荒城のよはの月 変わらぬ光たがためぞ 垣に残るはただかつら 松に歌ふはただあらし。
天上影は変わらねど 栄枯は移る世の姿 写さんとてか今もなほ あゝ荒城の夜半の月    土井晩翠「荒城の月」(途中から)

月をモチーフにした文学作品を(勝手に)選び出してみました。
9月8日の月(月齢12.2) ↓

エリザベス女王がなくなった日の月は雲の向こうで幽かに見える月で、この日の出来事を表しているようでした。
♪目つむれば亡き人がゐる走馬燈 ♪  木村世津
この夜の月は十三夜の月でもありました。 (鑑賞の豆名月・栗名月の十三夜は10月8日です。)
♪山降りてすぐ山を恋ふ十三夜 ♪  福田蓼汀

そして中秋の名月、当日の宵の口となりました。

電線が邪魔 ↓

月の出始めは低いところにある雲のために見えませんでしたが、時間が経つとだんだん見えて来て全貌を現したときは
電線の向こうにありました。


月に叢雲 ↓

やがてすぐに雲に隠れてしまいます。
♪月にむら雲私にゃお前 邪魔と知りつつ切れられぬ♪  都都逸より頂きました。
こうなると、金色夜叉の「貫ちゃん」(失礼!)の息んだ台詞を思い出します。↓
「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」・・・あの時の月は冬のものでしたか?

月が雲に隠れた時間が長くて、大恩ある方から電話で「中秋の名月が見えないが、何時頃から出て来るのか?」との
問い合わせがあったほどの、長いヤキモキタイムがありました。

やっと雲から出てきた ↓

未だ雲が掛かってはいますが、全貌が見えて来ました。
♪雲がいそいでよい月にする♪  種田山頭火


そして完全無欠の中秋の名月 ↓ ↓

♪見る人に 物のあはれをしらすれば 月やこの世の鏡なるらむ♪   崇徳院
(見る人に“もののあはれ”を知らせるとすれば、月はこの世の鏡なのだろうか。)


♪こんな好い月を一人で見て寝る♪  尾崎放哉



月齢が少しだけ進んだ、これも中秋の名月 ↓

♪あの月をとつてくれろと泣く子哉♪  小林一茶
一茶はこの句に対して作句後も推敲を重ねています。 ♪名月をとつてくれろと泣く子哉♪・・・のあとに
♪明月をとつてくれろと泣く子哉♪・・・ともしています。

♪名月や池をめぐりて夜もすがら♪  ご存じ松尾芭蕉
♪名月や静かに更くる身のほとり♪   高橋 梓



雲間の月 ↓

♪十五夜の雲のあそびてかぎりなし♪  後藤夜半


そして夜がどんどん更けていき、今朝となります。
♪嬉しくながめた夜も明けそめて 軒に未練の秋の月♪  都都逸より頂きました。(もうこのような歳でもありませんが・・・・)

♪名月をあと何度ほど拝めるか♪  亭主汗駄句
コメント (6)
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