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登山文化の危機!山小屋ヘリコプター問題

2023-03-13 11:52:35 | 登山
今、北アルプスの山小屋で、ヘリコプター危機という、
登山文化の未来を揺るがす大問題が起こっています。





これは、私も数十年前に行った事のある、日本最後の秘境と言われる、
北アルプス・雲の平山荘の小屋主である、伊藤二朗氏が提起しているのです。

2019年7月。
多くの山小屋の現場で重大な異変が起こっています。
営業物資、生活物資が突如として届かなくなったのです。
数年前から主要なヘリコプター会社2社が、山小屋の物資輸送からの撤退を示唆し、
ここにきて北アルプスの8割方の物資輸送の最後の砦というべき、
T航空会社が、相次ぐ事故やそれに誘発された人材流出、機体のトラブルによって、
遂に機能不全に陥ってしまったのです。その影響は未曽有です。
(山岳は気象条件が悪く、平地での仕事に比べるとリスクが高い)

この問題は際限なく拡大して行く可能性が高く、
中長期的な危機の度合いは限りなく赤信号に近い。
これは山小屋の経営危機といった単純な話ではなく、
「日本の国立公園、登山文化の持続可能な運営システムの欠乏」という、
大問題が棚から一気になだれ落ちようとしているのです。



日本の国立公園、特に北アルプスでは、
山小屋(や、その他の民間団体)が、多くの面で公共的な役割を担い、
管理、運営に当たっています。
環境省などの行政機関は、ほぼ機能してなく、実際は山小屋などが牽引してきたので、
山小屋が存続に係る重大な問題に直面したとしても、
その運営を公的に支える仕組みや法律が存在しないのです。
山小屋の危機が国立公園の運営問題に直結してしまうのは、その為なのです。

北アルプスは、国立公園と言いながら、
欧米諸国の国立公園が行政で多くの予算と人材を投入して維持しているのに比べ、
日本の行政は全くお粗末で、欧米の何十分の一といった予算で細々とやっており、
実質は山小屋のボランティアに、国立公園の維持を依存している状況です。
その山小屋が維持できなくなるという事は
国立公園自体の維持が難しくなってしまうという事なのです。

ヘリコプター会社が山小屋の物資輸送から撤退し、それによって山小屋の運営が困難になり、
結果的に国立公園の運営に重大な支障をきたすとしても、何の解決策も無いのです。
この問題を救う法律自体が存在しないのです。

1960年代初頭より、
ヘリコプターは山小屋運営の絶対的な生命線になりました。
それ以前は、人が背負える範囲内で山小屋を建設し、
生活物資、食料はそれだけで支えていました。
それから50年、登山環境を成立させてきたのは紛れもなくヘリコプターであり、
登山文化、山小屋文化はヘリコプターが支えてきたのです。


私は現在、登山という趣味から遠ざかってしまいましたが、
日本の国立公園の危機と言われると、知らん顔とはいきません。
日本の行政は、歌声喫茶もそうですが、文化、芸術を実に冷遇しています。
そして、まさかというか登山文化、山小屋文化も冷遇するんですね。
政府は、日本の数多くの国立公園をほったらかしにする気ですか?
これは本当に心配な大問題です。


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