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なぜ黒部、下の廊下などに行くのか

2023-10-18 07:15:26 | 登山
登山用語で「廊下」とは両側の岸壁が迫って、狭くなった場所を言います。
黒部川には、上の廊下と、下(しも)の廊下があります。
黒部ダム(黒四ダム)の上流に在るのが、上の廊下。
下流に在るのが、下の廊下です。



上の廊下は沢歩きを専門にやっている人しか通れません。
難しい渓流遡行の技術が必要な、超難関ルートです。
しかし、下の廊下には、黒部ダムを造る時に、資材を人力で運び上げる為に造った、
日電歩道という危険な道があります。
それは垂直な断崖絶壁をくり抜いたり、丸太を組み合わせてかろうじて人が歩ける道を、
造ったりした、目まいがしそうな危険な足場です。

富山から入り、トロッコ電車に乗ったりして辿り着くのが欅平(けやきだいら)です。
そこから黒部ダムまでは25キロくらいだそうです。
そのルートは恐怖感に打ち勝って、慎重に行けば、
岩壁登攀技術など無くても行かれるのです。
しかし、足を踏み外して落ちたら、一巻の終わり。
よく「黒部に怪我なし」と言われますが、
それは落ちたら怪我はしないよ、必ず死ぬよ、という意味です。







つい先日も一人の登山者が墜死したばかりです。
毎年、死者が出ない年など、多分ないのだと思います。
年間1800人くらいが、下の廊下に入っていき、
5人くらいが死ぬそうです。
その確率1/350・・350人に1人が死んでしまうという恐るべき確率。
何だってそんな危険な道へ行くのでしょう? 私には理解できません。







私は穂高のジャンダルムには2回登っています。
特に、西穂高からジャンダルムへのルートは、
岳人憧れの、北アルプス最難関ルートとして有名です。
ある程度、岩壁登攀の技術が無いと、そこは難しいかもしれません。
しかし、下の廊下には、そういった技術は必要ではないでしょう。
なんですが、足を踏み外した、つまづいた瞬間は、人生が完全に終わる瞬間なのです。
100メートルを真っ逆さまに落ちて行くのです。
ジャンダルムでは場所によっては200メートル落ちます。
そういった意味では、ジャンダルムの方が痛いでしょうね。
(あ、そういった意味じゃないか)

でも、見晴らしのいい、雄大な大展望の中を落ちて行くのか、
それとも、ただただ湿っぽい下の川を見ながら落ちて行くのか、
私は絶対に、大展望に両手を広げてで死んで行きたい。
下の廊下などへ行く人の気持ちが理解できません。

転落した登山者の姿に、たまたま出くわした人などが、
それを山小屋にあわてて(携帯電話は繋がらない)連絡に走ったりするそうですが、
それは何の意味もありません。
落ちた人は確実に(ホトケ)になっているからです。
ホトケ様になってる人は、今更あわてて連絡する事はないのです。
ホトケ様となった人を下界に降ろすには、ヘリコプターになります。

この(いわゆる日電歩道)を維持するには、年間数千万円かかるそうですが、
それって、やらなければならないんでしょうか?
やる必要があるにしても、一般の登山者など締め出して通行禁止にすればいいのに。
ヘリで降ろす費用は勿体ないし、色んな意味でやめた方がいいと思うのですが。

黒部、下の廊下に行きたい、憧れてるなんて人。
そんなトコはおやめなさい。
上手くいって当たり前、生きるか死ぬかなんて緊迫感は長続きしません。
上手くいった所で、そんなの誰が誉めてくれますか。
ジャンダルムの頂上で、バンザーイってやった方が全然、楽しく嬉しいよ。



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