京都の町中です。文政13年と云いますから、西暦で云いますと1830年の事です。
此の京都での地震の様子を城戸千楯は書いています。
「諸人申合せし如く、頭に伊勢大神の剣御祓をさし、又兜の御符等を髪の曲に結付る事、京洛中同様也。又京中井水は八日頃迄濁れり。」
とあります。
「頭に剣御祓をさし・・・・・」と云うのは、京都中のほとんどの人々が、それぞれの家々に祀っているお伊勢さんの剣を形をした御札を頭にさしたり、災厄を避けるというお呪いの兜の御札を髷に結ったりして地震時の災難除けにしていたというのです。剣御祓と云うのは剣の形に切ってある小板の御札です。小さいものでも5cmぐらいはあると思われます。そんなものを頭にさして地震除けにしていたのです。それぐらい地震に恐怖心を抱いていたかと云う事が分かります。江戸では、そんな奇天烈な風習事があったとは聞いていません。もしかして、こんな風習は京都だけだったのかもしれませんね。
なお、此の地震の影響で、井戸水が1週間ほど濁ったとも書いています。水道設備はなく、総ての家は井戸を使っていたのですから1週間もの間濁っていたのですから人々は困ったであろう事も予想されます。