私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

紙魚室雑記

2011-05-27 10:27:05 | Weblog

 藤井高尚の盟友城戸千楯か紙魚室雑記に書いた文政13年の地震に付いてその内容をお知らせします。

 7月2日「申時」と云いますから、今の時刻にしますと、大体、4時頃だと思います。江戸流にいうと七つ時です。当時、主に、江戸の流行り唄だったようですが、地震のあった時刻で、それが何の前兆であるかに付いて、次のような歌が歌われていたというのです。

 「九は病五七が雨に四つ旱六つ八つならば風と知るべし」と云う歌です。このうち九の病と云うのは流行り病になり、五つ時、七つ時の後は雨になると言われていたらしいのです。式亭三馬の浮世風呂に書かれてあるのだそうです。

 これを千楯は
「・・・・普通の地震一ゆりせしか、彼歌にいへる五七は雨にやなるらんなどいいもあへず、忽ち風荒き船に乗れるが如く、大に震ひて鳴動おひたゝしく、四五十ゆり震ふ物がたちまち遠近の家土蔵、万物勝れ落る音も諸ともに、震動すれば、今は諸人たまりもあへず、吾常に頼む神仏を声をあげて唱ふるもあり、只泣きさけぶもありて、おほかたに大道へ逃出、また逃出んとして土蔵の大輪瓦等の落るにうたれ、速死怪我人等おびただしく出来ぬ。」とあります。
 ここに記されているように、瓦などが飛び散り死人やけが人が出たとありますが、「方丈記」にある様な大火事は起こらず、それに伴う死者も余り出てはいないようすです。此の時に記録した震度は、いったいどのくらいだったのでしょうかねかは不明です。即死の事だと思われますが、速死や怪我人は「おびただしい」と書かれています。
 続けて、彼はこの地震の後にあった余震に付いても記録しています。

 今朝の新聞によりますと、1586年の天正大震災では福井地方には、山のような津波が記録されたという書物が見つかったと報じられています。吾吉備の国は、地震の被害なんて、決して起こらないだなんて油断してはおれません。何処にいても、いついかなる時に、予期なしに、突然に襲って来るのが地震なのです。寺田寅彦ではないのですが「忘れた頃にやってくる」のです。